予備試験を独学・1年で受験してみた

非法学部生が独学・1年未満で予備試験に合格した記録(問題集絶対主義)/73期弁護士

弁護士の仕事内容のリアル①(弁護士は主人公ではなくサポート役で地味)

弁護士登録をして約1年4ヶ月になりました。

73期弁護士の司法の犬でございます。

 

今回は、弁護士を目指す方向けに、弁護士の仕事について書きます。

予備試験/司法試験の勉強の息抜き程度に読んでもらえればと思います。

(面白かったら「もっとこういう類の記事を出してくれ」というリクエストを、ぜひコメントしてください)

前置き

さて、弁護士の仕事につき、弁護士になってから(少なくとも弁護士になる前より強く)感じるようになったことを書こうと思います。

弁護士の良い面(依然として平均年収は高め、社会的地位、独立可能な国家資格…)は広く知られているように思いますが、ネガティブな面については目が行かないことが多いように思いますので、ネガティブな面に重心を置きながらご紹介して行くつもりです。

(なので、結果として皆さんのモチベーションを削いでしまうかも笑)

 

今回は、「弁護士は主人公ではなく、あくまで補佐役」ということです。

 

当然の話ですね。

当事者は依頼者であって、

弁護士は、依頼者がやりたいことをサポートする役に過ぎません。

弁護士は依頼者に対して提案はするものの、意思決定をするのは依頼者であり、依頼者の手足となるのが基本です。

ですので、弁護士の仕事は、依頼者の意向によって諸々左右されますし、制限されます。

 

1 仕事の枠組み・制限

依頼者の意思を無視して、弁護士が自分の好き勝手することはできません(弁護士職務基本規程第22条1項)。

弁護士自身が良いと思ったことであっても、依頼者がOKを出さなければ依頼者の言う通りにするのが基本です。

分かりやすい例で言えば、判決になれば原告である依頼者がほぼ確実に負けることが想定される事件において、和解して少しでもお金を貰った方がよいと思える場合でも、依頼者が「和解しない」といえば和解してはいけません。

 

また、弁護士にクリエイティブさは求められないし、クリエイティブさを発揮してはいけないと思います。

条文に従い、裁判例に従い、人によっては、前例となる裁判例がないとき等に時折学説を引用するくらいのことです。

法曹界の「常識」に沿って仕事を進めるのが通常です。

「常識」から外れる弁護士は、おそらく他の法曹から仕事ができない人として扱われます。

 

また、例えば訴訟のやり方ですと、訴訟法・訴訟規則で進行の方法が決まっていますので、いくら現行のやり方が非効率でも従わざるを得ません。

例えば裁判期日には、「陳述します。」と言うのと次回期日の日程を決めるためだけに、遠方の裁判所に出頭しなければならない…というのは聞いたことがあるでしょう。

(ちなみに中国にはオンライン訴訟制度があり、裁判所への出頭をしなくてもよく、また、書面もオンラインでやり取り・保管するというオンライン訴訟制度があるそうです。日本より進んでますね笑)

 

こんな感じなので、弁護士として、イーロン・マスク氏やジェフ・ベゾス氏、孫正義氏のように、型破り/破天荒な改革者として、夢を追求して楽しんでいくビジネス人生を送ることは100%無理でしょう。

 

f:id:SHIHOUnoINU:20220415201921j:plain

 

2 期限等

アソシエイト弁護士(≒パシリ弁護士)の私に対して期限を設定してくるのは、パートナー弁護士(≒経営者層弁護士)です。

アソシエイトからの成果物の提出期限は、①依頼者から決められた期限を基に、②パートナー弁護士が我々アソシエイト弁護士の提出物をチェックする時間を踏まえて決められます。

 

①について

依頼者によっては、かなり厳しい期限を設定してくることがあります。

例えば、普通に作業すれば2ヶ月はかかるものを、「2週間以内に成果物をよこせ」と言ってくる依頼者がいました。

僕は企業法務の事務所所属ですが、特に年末年始は厳しい期限を設定する企業が激増し、大挙してきます。

 

2021年の年末も、「僕がボス弁なら絶対断るぞ」と思う案件もいくつかありましたが、苦労するのはボス弁ではなく、仕事を振られるアソシエイト弁護士ですので、ボス弁は、企業の無茶振りを安請け合いすることが可能です。

僕は、2021年12月中から2022年1月上旬までは毎日(土日休みなんてないです。年末年始休みも大幅に短縮です)深夜2時から3時まで仕事をしました…。

 

②について

案件によって、多少変わりますが、1日〜5日程度見られることが多いです。

物によっては、数時間で依頼者に送付したり、一週間後に依頼者に送付することもあります。

ですので、パートナー弁護士がアソシエイト弁護士に設定してくる提出期限は、依頼者が設定した期限よりも更に前倒しになります。

 

3 値引き交渉

意外に多いのが、上限の予算を設定してくるタイプの案件です。

例えば、1時間あたり5万円の報酬が標準の弁護士に、「この案件の上限予算は20万円でやって下さい」との依頼が来るとします。

仮にその弁護士が4時間を超えて作業したとしても、依頼者には20万円しか請求しないことになります。

 

すると、タダ働きの時間が発生することになりますね。

ただ、前もって予算を設定してくれる依頼者については、弁護士側でも前もって受諾するか否かの検討ができますから全く問題ありません。

 

問題なのは、全ての作業が終わり、成果物を納品した後に「請求額が想定より高いから、ちょっと安くしてよ」と言ってくる依頼者です。

これはよくトラブルの原因となるようです。

報酬体系については、前もって説明しているんですがね…

 

僕は、年末年始に期限の無茶振りをしてきた企業のうちの一つが、このような作業完了後の報酬減額を求めてきたので「く●○れ!」と思いました。

また、これを承諾したボスに対しても同様の感情を抱きました。

 

4 良い面も有ります

上記1の制限については、手の打ちようがありません。

また、アソシエイト弁護士でいる限り上記2及び3の制限についても、基本的にどうすることもできません。

 

しかし、独立してしまえば、上記1の制限は残りますが、上記2及び3については、「自分が気に入らなければ受任しない」と(パートナーでなく)自分で決めることが可能です。

 

つまり、独立するまでは制限だらけの職業ですが、独立してしまえば自由になれます。

そして幸運にも、弁護士は手に職が付くため、一般の会社員や公務員と比較すれば極めて独立しやすい職です。

 

(主に顧客を獲得できず費用と生活費が稼げないのではないか等の金銭面から)独立に不安を持つことはあると思いますが、既に独立をした諸先輩方の資料を拝見しても、独立のハードルは思ったよりも低そうです。

 

例えば、僕は以下の書籍を修習生の間から読んでいました。

『弁護士 独立・経営の不安解消Q&A』:5人の独立経験者弁護士が、独立を考える人に向けて、独立に際しての不安・疑問について、163のQ&Aで網羅的に答えています。

 

Amazon

楽天

『弁護士が独立を思い立ったら最初に読む本』:こちらも独立の諸問題について記述した本ですが、独立のタイミングや顧客獲得方法について、詳しい記述がなされているのが個人的に良いと思いました。

Amazon

楽天

 

 

以上

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

・これから予備試験・司法試験を受験する方へ

オンライン予備校を利用して受験勉強をすることをお勧めします。

 

・僕がオンライン予備校が良いと思う理由については、以下の記事をご覧ください。

shihounoinu.hatenablog.com

・僕が考える受講シミュレーションを作成したこともあります。

shihounoinu.hatenablog.com

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

・転職を考える方へ

もしも転職エージェントを利用する場合には、職業の特殊性を考え、弁護士専門のエージェントの利用も検討してはいかがでしょうか。

 

僕は、弁護士登録から1年経過時にインハウスへの転職活動をしました。

その時の体験談です。

shihounoinu.hatenablog.com  

 

弁護士経験1年での転職活動体験談ーインハウス(企業内弁護士)への転職活動

【この記事の想定読者】現役弁護士、弁護士資格保有

僕は、弁護士になって1年が経った頃、インハウス(企業に所属して働くサラリーマン弁護士)への転職を考え、2021年11月末頃から転職活動を行いました。

その際に3社を受験し、結果2社から内定をいただきました(金融:12月下旬に内定、製薬:1月中旬に内定)。

結局、転職はしませんでしたが…

 

今回は僕が経験した転職活動について書いていきます。

転職を考えたきっかけ

僕の所属事務所は、比較的規模の小さい法律事務所でした。

小規模事務所ではボス弁次第で振り回されます。

転職を考えたきっかけは、長時間勤務が常態化したことが主ですが、具体的すぎて書けないことも色々あります(笑)

ボス弁への信頼感や好感が、ゼロを割り込みマイナスになったのが登録1年後の頃で、この頃から転職を考え始めました。

 

転職先は企業内弁護士(インハウス)を考えました。

法律事務所だと大半が個人事業主扱いです。

すると、アソシエイトに深夜業務・休日業務をさせてもボス弁の出費は増えず、これらに対する抑止力がありません。

要は無理をさせ放題で、ブラックな就業環境を合法的に実現できてしまうのが(アソシエイトが個人事業主扱いになる)法律事務所なのだと思います。

また、大規模事務所はどうか分かりませんが、法律事務所は概ねボスの好きなままに事務所経営がなされており、「そこで働く者への配慮」が民間企業に比べて薄いように感じていました。

 

考慮事項

まず、転職するにあたり「そもそも異分野への参入は可能か?」という疑問があるかもしれません。

(例:企業法務から一般民事へ、ブティック事務所から弁護士ひとりひとりが幅広い分野扱う事務所へなど)

僕は73期ということもあって、身近に転職経験者はそれほどおらず、事例数が足りないのですが、

民事弁護修習中に法律相談演習を担当してもらった60期代の弁護士に同じ質問(「僕はブティック事務所に行く予定だが、一般民事、又は企業法務であっても幅広い分野を扱う事務所への転職は可能か?」)をしました。

すると「可能だと思う。そういう事例は僕も知っている。ただ、統計をとったわけではないが感覚的に経験10年を超えると、全く異分野に参入するのは難しくなる。なので全く違う分野に行きたいなら経験10年という数字を気にしてみては。」とのご回答を頂きました。

皆さんの参考になるかもしれませんので、記載しておきます。

僕の転職活動体験談

以下、僕の転職活動体験談を書きます。

 

f:id:SHIHOUnoINU:20220415202147j:plain

 

Step1 「ひまわり求人」で企業の求人を探した

www.bengoshikai.jp

 

転職、移籍を考えている弁護士の方→企業・団体等の求人情報→同意する→検索する

の順に進むと企業一覧が出ます。

多くは大企業の法務部職員の募集です。

僕はここで、以下の項目を検討し、クリアした会社を受験しました。

①好きなタイプの会社か?

②当該会社の業績及びその推移

③条件(主に業務時間と収入)

④自分でもやっていけそうか?

 

なぜ業務内容を見ないのか?と疑問に思われた方もいらっしゃると思います。

法律事務所は、特定分野だけ扱う事務所又は特定分野を中心的に扱う事務所ならば業務内容が全く異なりますが、インハウスとなるとそこまで大きな違いはないことも。

とはいえ、似たような業務内容が多いとはいえど、固有の業務が発生することも多かれ少なかれあります。

①好きなタイプの会社か?

僕は、自分の人生のうちの多くの時間をその会社で過ごすことになる以上、「自分が好きな会社で働きたい!」と思っていました。

それは、所属事務所のボス弁が嫌いだったせいもあるかもしれません(笑)

今の事務所の面接で「このボスとは合わないな〜」と思ったのですが、「将来のキャリア形成に役立ちそう」と思って入所したという経緯があリマス。

その反省から今回の転職活動では、「好き」を「損得」に優先させようと思いました(これが自分の中での転職の軸です。面接で話すような外向きとは別の軸)。

 

「好きなタイプの会社か?」というのは、その会社のビジネスモデルが理解できて、かつ、そのビジネスが(やり方等含めて)好きか?ということです。

 

その会社のビジネスモデルというのは、企業の説明会をYouTubeで見る、企業のIR(投資家情報)ページから最新の決算説明会資料や決算短信を見ることで、大まかなことが分かります。

なぜビジネスモデルが理解できる必要があると考えたかと言いますと、

⑴ビジネスモデルが分からないと、その会社が好きかどうか分からない

⑵ビジネスモデルが分からないと、その会社の未来の業績推移の予想もできない

⑶ビジネスモデルが分からないと、そもそも面接で何も話せない

からです。

 

⑴については、知らないと本当に好きか分からないということです。

とある外国に永住するとなったとき、

a.テレビで見たその国の情報だけで永住するか判断する

b.その国へ数日程度の短期旅行した時の感覚で永住するか判断する

c.1年間住んでみた時の感覚から永住するかを判断する

どれが1番、永住後の満足度が高そうでしょうか?

やはりその国をよく知っているc.のケースなのではないかと思います。

 

⑵について。たとえ今まで良い業績推移を描いていたとしても、今後も続くのかどうかはその会社のビジネスの状況、業態や市場トレンド、競合他社の状況などによって左右されます。

僕は、自分が入ろうとしている会社が、今後も勝てるかを考えたかったので、上記のような要素についても調べており、役員面接でも役員に対して臆せず質問しました。

 

⑶については、東京弁護士会の東弁ネット研修アーカイブの動画

[H30前]インハウスローヤーに聞く≪第2弾≫~組織内弁護士に求められるもの~

でも触れられていました。

登壇した先生の1人が「企業内弁護士のポジションを求めて転職活動する人は、一般の就職・転職活動をする人に比べて、その会社が何をやっているかすら調べてきていない人が多い」と仰っていました。

そういった場合は、面接で志望動機を話せないでしょうし、採用される可能性はほぼないのではと思います。

②当該会社の業績及びその推移

連続赤字企業や、業績が右肩下がりの企業、低収益企業(営業利益率10%未満)に行くつもりはありませんでした。

これまで見聞きした経験から、業績が芳しくない会社の社内の雰囲気は良くないというイメージがあったからです。

また、切実な話として、インハウスは収入の多くの割合をボーナスによって占められるという特徴があります。

ちなみに、僕が内定をいただいたうちの1社(金融)で提示された収入シミュレーションでは、基本給+資格手当=365万円程度に対し、ボーナス(基本給6ヶ月分)+残業代=245万円弱といった感じでした。

もう一方の製薬の会社は、年収の約3分の1がボーナスでした。金融の会社ほどではありませんが、まあまあの割合だと思います。

サラリーマンあるあるですが、業績が良くなったとしてもボーナスの額はそれほど増えないですが、業績が悪くなったら真っ先にボーナスをカットされます。

収入の多くの部分がボーナスに依存する以上、業績及びその推移は(①で検討したビジネスモデルも併せて)よく見ておく必要があります。

手っ取り早く調べたい方は、「IR BANK」に企業名を打ち込んでみると企業業績の大まかな推移が分かります。

irbank.net

 

③条件(主に勤務時間と収入)

勤務時間は会社によって1時間くらい異なることがあります。

僕は内定をいただいた2社から条件の提示をされましたが、A社(金融)は所定労働時間7時間、B社(製薬)は7時間50分でした。

どの企業も多少の残業は発生することがあると思いますが、グローバル企業などをはじめとして会社によっては深夜残業が発生することがあるそうです(内定をいただいた大手製薬企業では、頻繁ではないものの深夜残業があるそうです)。

 

収入は会社により大きく異なります。

法務部はどの会社でも似たようなこと業務が業務の大きな割合を占めると思いますが、同じことをするなら賃金は多い方が良いに決まっています。

僕は内定をいただいた2社から条件の提示をされましたが、A社(金融)は約610万円、B社(製薬)は約660万円で全く違いました。

④自分でもやっていけそうか?

例えば、「求める経験年数」が5年以上や10年以上といった会社は僕は受けることもできません。

そうでなくとも弁護士数が0~1の会社に、経験年数1年の僕が入ってひとりで法務の仕事を回すのは厳しいので避けました。

Step2 応募(書類送付)→面接→内定

これ以降は特に注意する点は少ないと思いますが、「その会社がどんな会社か?」というのは絶えず調べ続けた方が良いと思っています。

面接の話題としても役に立ちますし、そもそもその会社に入ることが自分の人生にとってよいのかを考えるきっかけになるからです。

・ビジネスモデル/ビジネス環境→当該企業の決算短信/決算説明会資料や中期経営計画を確認

・従業員の感想(OpenWorkなどで(元)従業員の声が聞ける。生の声は大事)

・業績推移→当該企業のIR(投資家情報)で財務ハイライトなどを確認

 

僕が転職活動の面接で共通で聞かれた質問は、以下のとおりです。

僕の主観で重要と考える質問に対しては、僕が面接で話したことを付記します。

 

★志望動機

★うちがどんなことをしている会社か知っている?

→ビジネスモデルを理解しているか?ということ。

対策としては企業のHPでIR(投資家情報)の報告資料を見てください。

決算説明会資料、決算短信が分かりやすいです。

メーカーであれば、代表的な商品を言えることは当然でしょう。

僕は製薬会社も受験したのですが、面接の際、以下のような点は前提知識として仕入れていました。

・どんなビジネスモデルか?:「新薬を開発する医療用医薬品会社」のビジネスモデル一般について説明をしました。会社によってはもう一歩説明を加える必要ありかも?

・どの分野の薬を開発しているのか?:会社によりがん、神経系統、向精神薬感染症など強い分野があります。

・代表的な商品は何か?:決算説明会資料に載っている商品のなかで売上上位2つの薬くらいは言えるとよいかと思います。

★転職の軸は?

僕はど正直に、「その会社のことをビジネスモデルを含めて理解でき、好きかどうか」と「労働条件」と答えていました。

ただ、前者については会社側が測定することができないので、よほどうまく説明するか、何か数値化できるような他の指標に置き換えるか、又はいっそ言わない方がよい場合があると思います。

★インハウスになる動機って?

→会社の方々は、弁護士が会社に所属してその1社のために働くことは、法律事務所で働く場合に比べて、その後のキャリア形成に大きな違いが生じると考えるようです。

実際は、インハウスを退職してどこかの法律事務所に転職こともできますし、何なら自分で法律事務所をいつでも開業することができるのですが…

なので、この点は説明できるようにしておくとよいでしょう。

僕はど正直に、法律事務所の嫌なところ(深夜・休日業務が多発することとそれに対する抑止力がないこと、ボスのやりたい放題なところ)を列挙し、法律事務所であれば全般的にそういったことが起こる「リスク」が潜在している(※)が、会社であればそういったことは起こりにくいと話していました。

・あなたが今までしてきた仕事の内容について説明してくれますか?

→正直に答えましょう。嘘を言うと、入社後最も大変なことになる事項の気がします。

なお、この質問に★マークを付けなかったのは、おそらく僕が弁護士経験1年での転職活動をしたため、会社側にそれほど重視されていなかったと思うためです。

実際、所属事務所の業務と内定をいただいた製薬会社の業務(契約書チェックがメイン)の間では親和性が非常に高かったのですが、内定をいただいた金融の業務(破産系の仕事が発生する模様)の間には親和性があるかどうか微妙でした。

面接においては、いずれの会社でも所属事務所で経験した業務内容よりも、経歴(在学中に予備試験合格)に触れられた上で、「裁判官・検察官は考えなかったのか?なぜか?」との質問の方が長い時間を取っていたような気がします。

・あなた自身を一言で表すと?

→「コツコツ真面目人間(そんな発想力豊かで突飛なことができるタイプじゃない)」と答えました。

多分それほど重要な質問じゃないので、実績(相手にも伝わるエピソード)を話せる特徴を選べば良いと思います。

・あなたが好きなことは?

→正直に答えればよいと思います。法律又は道徳・倫理観に反しているものでなければ、の話ですが…

 

正直に答えればいいと思います。

正直なことを言ったうえで、それを踏まえて「君を採用したい」といってくれる会社でしか僕は働きたくなかったので…

 

転職活動を経験した感想として、「弁護士の転職活動においては求職者側にそれなりの交渉力がある」と思います(※記事執筆時点)。

一定の需要があるのに対して、供給(有資格者)に制限があるからだと思います。ちなみに、僕の場合、内定をいただいた2社とも一般の転職給与体系に比べてやや高い条件を提示してたそうです。

 

また、内定をいただいた2社の役員面接では「内定出したら、うちの会社に来てくれますか?」との質問にど正直に、「いえ、申し訳ありませんが他社と比較検討させていただきます」と答えましたが、それでも内定をくれました。

Step0 転職エージェントを利用するべきか?

僕は転職エージェントを利用せずに転職活動を行い、内定をいただきました(某社でエージェントを利用していないことを驚かれたことがあります。ただ、弁護士向けのエージェントサイトに登録だけはしました)。

しかし、転職エージェントには、

・未公開求人がある

・応募者の転職動機や希望にあった求人を提供してくれる可能性がある

・その企業についての情報を仕入れることができる

などのメリットもあります。

ですから、転職エージェントを活用するメリットは十分にあると思います。

弁護士の転職はやや特殊だと思いますので、もし転職エージェントを利用する場合には、弁護士に特化した転職エージェントを利用するとよいでしょう。

 

 

エージェントを利用する際の注意としては「最後は自分の責任において、自分で決定する」ことだと思います。

エージェントはあくまで他人であって、あなたの人生を豊かにする責任はありません。

 

エージェントの言うがままにして後悔しないよう「自分で判断し、エージェントはあくまでサポート役にすぎない」という意識を持つのが望ましいです。

担当エージェントが信用できない場合は、交代を頼んだり、別のエージェント会社を利用するのもよいと思います。

おわりに

・今の所属組織を辞めたいか

・どの組織に転職したいか

・今後どのように人生の時間を過ごしたいか

など、転職活動は、自分は何が好きか/何がしたいか考える良いきっかけになりました。

自分の人生は、自分でコントロールするべきであり、コントロールできる

ということを実感する経験になりました

今の所属組織に不満を覚え、転職を検討する先生方の参考になれば幸いです。

新人弁護士(個人事業主)の手続き②ー年金・健康保険

※記事作成日(2021年10月16日)時点での情報です。更新の有無はご自身で確認してください。

※記事の内容には注意を払っていますが、誤りがあった場合でも責任は負いかねます。最終判断はご自身でお願いします。

※記事の内容に誤りを発見された場合には、コメントで教えてくだされば幸いです。よろしくお願い致します。

※前回の記事と同様で、個人事業主となる弁護士向けです。会社等において社会保険等に加入する労働者となる場合は対象外です。

 

前回の記事はこちら

 

shihounoinu.hatenablog.com

 

 

今回は、僕個人の体験談的な話になってしまいました。

健康保険や年金については、個人差が大きいためブログで一般論を示すのは難しいと考えるためです。ご容赦下さい。

 

年金

令和3年度の国民年金保険料は、16,610円です(https://www.nenkin.go.jp/service/kokunen/hokenryo/20150313-02.html)。

 

僕の前年=修習生の1年間の収入は、135,000*11(1〜11月分)+90,000(12月分)=1,575,000円と低収入でしたので、2021年4月~2022年3月の年金の納付について、市役所で免除・納付猶予を申請しました*1

免除・猶予の詳しい条件等はこちらを参照してください:

日本年金機構国民年金保険料の免除制度・納付猶予制度」(https://www.nenkin.go.jp/service/kokunen/menjo/20150428.html

免除・納付猶予のメリット・デメリットは、以下がパッと思いつくところです。

・メリット

現在のキャッシュフローが良くなる

受給する年金と比べて高い利回りで運用できる知識を有する人にとっては、年金よりも優れたお金の振り向け方がある?

・デメリット

追納しなければ将来の年金額が減る

申請の結果、納付猶予の決定をした旨の通知が来ました。

 

国民年金機構によれば、納付猶予の基準は、

・所得が「(扶養親族等の数+1)×35万円+32万円の範囲内であること」(※)

ですので(上記日本年金機構国民年金保険料の免除制度・納付猶予制度」参照)

修習生の薄給でその他の収入がなければ、修習修了後すぐ登録した1年目の弁護士であって50歳未満の人は少なくとも納付猶予を受けられる可能性が高いのではないかと思います。

f:id:SHIHOUnoINU:20220125000608p:plain

令和2年分(修習生時代)の確定申告。僕の場合は、課税所得が(0+1)×35万円+32万円=67万円を余裕で下回りました。

 

申請手続きは免除も猶予も同様に市役所等に赴いて行います。

なお、僕は免除を受けたことがないので、どういう人が免除になるか詳しくは分かりません*2

健康保険

2022年3月まで(弁護士1年3ヶ月まで*3

弁護士1年目~弁護士2年目の3月は、修習時代から引き続き国民健康保険に加入し(※自分を擬制世帯主とします)、弁護士2年目の4月以降は、弁護士国保に加入するつもりです。

国民健康保険は、前年の収入を元に保険料が算定されます。

つまり、弁護士1年目における国民健康保険の保険料は、修習生時代の薄給(月額13万5000円の一時所得:73期時点)を元に算出されます。

その結果、僕の2021年4月~2022年3月の国民健康保険料は、約2,700円(2021年6月以降の引き落とし1回当たりの金額)です。

2022年4月から2023年3月(73期の場合、弁護士1年4ヶ月~)

この時期の主な問題は、国民健康保険への加入を継続するか?

それとも弁護士国保に乗り換えるか?です。

国民健康保険

それでは、2022年4月~の国民健康保険料を試算してみましょう。

西東京市の説明がわかりやすかったので、西東京市を例にしてシミュレーションします(※注意:国民健康保険料の計算は、自治体によって異なります。お住まいの自治体につき、ご自身でチェック願います)。

www.city.nishitokyo.lg.jp

国民健康保険料料率表(引用元:西東京市ホームページ(上掲リンク))
 
所得割額
均等割額
賦課限度額
医療分
賦課標準額 × 5.41パーセント
被保険者数 × 31,600円
63万円
支援金等分
賦課標準額 × 1.68パーセント
被保険者数 × 6,500円
19万円
介護分
賦課標準額 × 1.64パーセント
第2号被保険者数 × 14,300円
17万円

 

 

僕は40歳未満なので、介護分の負担はなく、医療分+支援金等分のみ負担します。

賦課標準額は、(総収入ー43万円)で算出するそうです。

僕の今年の税引前総収入は、705万円(見込み)です。

ですので賦課標準額は、(705万円-43万円)=662万です。

すると、

・医療分=662万円✖︎0.0541+31,600円=389,742円

・支援金等分=662万円✖︎0.0168+6,500円=117,716円

合計で、507,458円となります。

 

弁護士国保

僕は東京3会のいずれかの弁護士会に所属しているので、東京都弁護士国民健康保険組合に加入する資格を有します(東京都弁護士国民健康保険組合|加入手続きについて)。

同組合の年額保険料は40歳未満の場合には、

(※2022年3月追記・訂正)2022年4月分から保険料が月額27,800円になるそうです。

 

比較結果

というわけで、2022年4月~2023年3月の健康保険シミュレーションの結果、

国民健康保険料507,458円>弁護士健康保険333,600円(27,800*12)

となり、弁護士国保の方が保険料を安く抑えられることがわかりました。

なので、僕の場合は、2022年3月までは国民健康保険への加入を継続し、2022年4月以降は弁護士国保に加入するつもりです。

 

 

 

shihounoinu.hatenablog.com

 

*1:実は、年金について、僕は修習生時代の2020年に市役所で納付猶予を申請して承認されています。その際、申請用紙の継続審査を希望するという欄にチェックをしたため、継続審査をされています。

*2:正直、修習生の上記の確定申告書のような薄給で免除にならないのは不思議に思いました。

*3:73期の場合です!

新人弁護士(個人事業主)の手続き①ー開業届・青色申告承認申請書・事業開始等申告書・税金(会計クラウド、確定申告)

新たに弁護士になり、個人事業主としての生活をスタートさせる方が多いかと思います。

今回は、弁護士として開業し、個人事業主となった人にとって必要となってくる手続についての情報提供です。

弁護士であっても、雇用契約を締結して労働者になる方(個人事業主とならない)は、この記事の対象外です。

※記事作成日(2021年10月19日)時点での情報です。更新の有無はご自身で確認してください。

※記事の内容には注意を払っていますが、誤りがあった場合でも責任は負いかねます。ご了承願います。あくまで参考程度にお願いします。

官公庁への提出書類

個人事業主となる新人弁護士全員が提出すべき書類は、

・開業届

青色申告承認申請書

・事業開始等申告書

の3点と認識しています。

なお、説明は官公庁のページが正確であるはずなので、そちらに譲ります。

開業届:所轄の税務署へ

(リンク)[手続名]個人事業の開業届出・廃業届出等手続|国税庁

青色申告承認申請書:所轄の税務署へ

(リンク)[手続名]所得税の青色申告承認申請手続|国税庁

青色申告複式簿記にすると、65万円(E-Taxの場合)、55万円(それ以外)の青色申告控除が得られます。

すなわち、上記金額分だけ課税所得が減ります(令和3年分確定申告時点)。

・期間制限がありますので、開業後は後回しにせずに速やかに提出しましょう。

事業開始等申告書:都道府県へ

(リンク:東京都)事業を始めたとき・廃止したとき | 東京都主税局

 

帳簿付け:インターネット上のクラウドソフト

※税理士に外注せず、自分で記帳する場合を想定して書きました。

僕は日商簿記2級を保有していますが、自分で記帳する方は、日商簿記3級くらいの知識は持っていた方がよいと思います(学習に使用した書籍(PR):パブロフの犬シリーズ【Amazon】【楽天】、学習のためのYouTube【ゼロから簿記3級(全24回)】基礎18回+じっくり復習6回(テキスト不要!) - YouTube)。

 

今どき、手書きで紙の帳簿を付ける人もいないと思います。

そこで、インターネット上のクラウドを使用することになると思いますが、

会計ソフトとして有名なのは、以下に掲げるクラウドサービスでしょう【PR】。

 

・【PR】マネー・フォワード(僕が使用中)

・【PR】弥生(やよいの青色申告オンラインは1年間無料、2022年1月23日時点)

・【PR】freee

の3つですね。

 

僕個人は、初めは「弥生の青色申告」を利用していました。

1年間無料だったからです。

しかし、弥生は個人的に勘定項目を追加する際の不便さ、文字の予測変換の精度の低さなどが原因で、大変使いづらかったので、マネー・フォワードに切り替えました。

弥生とは異なり1年目から料金がかかりますが、機械音痴の僕でも感覚的に操作しやすいためストレスがなく気に入っています。

ポイント:銀行口座とクレジットカードは、個人用と事業用で各1つ持つと便利

記帳の便宜のため、銀行口座とクレジットカードはそれぞれ、個人用のものとは別に事業用のものを持つとよいです。

理由は、ひとつの銀行/クレカを個人用途と事業用途で併用すると、(個人用途のものは「事業主貸」「事業主借」の記帳をしなければならず)帳簿付けの手間が増えるからです。

(以下、例示)

・銀行であれば、用途に個人用と事業用のものが混じっていると、事業と関係のない個人的な入出金も

入金の場合:普通預金100,000/事業主借100,000

出金の場合:事業主貸100,000/普通預金100,000

と記帳するハメになり、手間が増えます。

・クレカでも、個人の用途での利用額引き落としと事業用の利用額引き落としが1枚のクレカで混在していると、引き落とし日に

クレジットカード債務(未払金)60,000/普通預金100,000

事業主貸40,000

などとクレカ利用明細を確認しながら記帳するハメになり、時間が奪われます。

 

事業用の銀行口座の開設及びクレカ作成は、たった1度の手間で済みますが、

銀行及びクレカを、個人用と事業用で共用することによる余分な記帳の手間は、廃業するまで続きます。

なので、事業用の銀行口座開設&クレカ作成は早めにすることを勧めます。

司法の犬が使っている銀行&クレカ

銀行は、

・個人用として、楽天銀行&ゆうちょ銀行

・事業用として、みずほ銀行

を使っています。

 

クレジットカードは、

・個人用として、楽天カード(一般カード)

・事業用として、ANA To Me CARD(PASMOオートチャージ機能付帯のため)

を持っています。

 

個人用の銀行及び(特に)クレカには、楽天をお勧めします。

楽天市場のポイント還元率が高いことに加え、書籍購入、携帯電話や証券サービスなどによるポイント付与、さらにはふるさと納税の寄付によってポイントが付与されます。

 

楽天カードを使ったポイント術については下記動画が参考になります。

※動画の情報が少々古く、2021年10月19日現在は、楽天ゴールドカードのポイント付与率は一般カードと変わりません。

楽天ゴールドカードではなく、楽天一般カードを推奨します。

www.youtube.com

 

僕の事務所のパートナー弁護士は、楽天ふるさと納税を利用しており、

・お買い物マラソン(期間中に買い物をした店の数が増えるとポイント還元率アップ)の日に

・5と10の付く日に

・あえて「10,000円などの低い金額の返礼品を選んで買う」ことを繰り返して、買い物をする店の数を増やして買い物をする店の数を増やす(お買い物マラソン活用)

ことによってポイントを荒稼ぎしているそうです。

僕も今年(記事作成時点の2021年)から真似させていただくつもりです。

確定申告:税務署へ(E-Taxの利用がおすすめです)

個人事業主であれば、税金の知識も一定程度はつけておくべきです。

サラリーマン(労働者)のように会社が計算してくれず、自分で税額計算・納税についての責任を負わなければならないからです。

とりあえず、の本程度の知識は必須といえるでしょう。

大河内薫『お金のこと何もわからないままフリーランスになっちゃいましたが税金で損しない方法を教えてください! 』【PR】


👉【Amazon

👉【楽天

 

また、上記の青色申告控除のところで軽く触れましたが、E-Taxを使うのと使わないのとでは、青色申告控除の金額が10万円変わります(令和3年分確定申告時点)。

なので、E-Taxの利用を推奨します。

ちなみに僕は令和2年分の確定申告を、マイナンバーカード・iPhone12・iPad Pro2020を用いて、E-Taxにて行いました。

 

 

shihounoinu.hatenablog.com

 

節目に新しいことを始めるのも良案

あけましておめでとうございます。

最近記事の更新が止まっており、(当ブログの更新を楽しみにされている変態さんがいらっしゃったら)申し訳ありません。

短い記事ですが、新年のご挨拶として更新致します。

スタート地点を予め・自主的に設定すること

さて、今日は元日です。

何か新しいことを始めよう、でもイマイチ決心が付かない、という方は

「節目をスタートのきっかけ又は(悩むことの)締め切りにする」

というのもアリかもしれません。

 

僕は、予備試験の勉強を大学3年の夏休みから開始しましたが、

大学3年の春頃(5月頃だったか?正確なことについては記憶が曖昧)から受験することを検討していました。

ただ、大学3年の春頃はゼミ等の影響で忙しく、

「夏休みになったら予備試験の勉強を始めよう」

「ただ、それまでに“受験をやめたい“と思えば、予備試験の受験は止めよう。」

として、大学3年の夏休みの開始を、予備試験の受験勉強の開始又は打ち切り時点としていました。

 

自分にとって区切りがよければ良いので、

新年/新年度の始めでも、長期休みの開始でも、誕生日でも、月末でもご自由に。

 

「はじめのソフトで小さい一歩」の勧め

試験日は、いずれやってくるので受験勉強のスタートは1日でも早いがよいです。

いつまでも迷っているのは微妙で、どうしても迷いがあるならとりあえず費用をかけずに試しに勉強を始めてみて、

受験勉強を続けようと思えれば、より本腰を入れる(例えば予備校に通う)とかすればよいし、

やっぱり自分には何か合わないな/気が向かないな(受験は長期戦なので、個人的には「できる」よりも「好き嫌い」を重視した方がよいと思います)と思ったなら、受験勉強を中断すればよいと思います(なお、受験から撤退することは全く恥ずべきことではなく、予備/司法試験さらには法曹の世界が合わないのであれば、むしろ人生の有限な時間を自分にとってより有意義なことに振るべきです)。

 

ただ、いきなり100万円の予備校費を支払って形をキッチリ整えてから勉強を始めるなど初期投資の額が大きくなると、

どうしても心理的に撤退しづらくなりますので注意が必要です。

「あんなにお金をかけたのに、ここでやめたら勿体ない…」と感じやすくなるということですね。

 

まずは、本屋で入門書を買う、図書館で予備/司法試験関係の本を読んでみるなど小さいところから始めて、

「行ける!」と思ったら、投資額/投資時間(勉強時間のことです)を大きくするというのでもよいのではないでしょうか。

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

当ブログでは、

⑴ネット予備校の利用 

⑵正しい勉強法で勉強すること

⑶精神的に頑張りすぎないこと

をお勧めしています。 

 

⑴についての記事 

shihounoinu.hatenablog.com

⑵についての記事 

shihounoinu.hatenablog.com

⑶についての記事ー下記記事中、「2.基本方針」の「③自分に無理をさせないこと」

shihounoinu.hatenablog.com

 

 にほんブログ村

 にほんブログ村

2023年の予備試験合格を目指すなら? 勉強計画シミュレーション(準備期間1年半)

※(2022年1月19日追記)書き直しました。

※(2021年11月5日)2021年11月時点の情報を基に書いていますが、次年度以降も参考になると思います。

新しい記事を作り直しました。

shihounoinu.hatenablog.com

※記事の通りに勉強しても合格が保証されるわけではありません。個人差あり。

僕の自己紹介(知っている方は飛ばして下さい)

1996年度生まれ、2018年予備/2019年司法試験合格者。73期司法修習を経て弁護士。

法学部法律学科の出身ではなく、2017年(大3)夏休みから予備試験の学習を独学で開始しました。

独学は好きでやったのではありません。当時は予備校費用が高く、とても払えなかったため不本意ながら独学しました

基本方針

このブログでの3原則は、

①正しい戦略を取ること=ネット予備校を利用すること

②正しい勉強方法を取ること

③自分に無理をさせないこと

です。

①正しい戦略を取ること=ネット予備校を利用すること

過去の自分に質問したいことがあります。

「死ぬときに後悔することは、若い時に時間をケチって金を払うことか?それとも、金をケチって時間を失うことか?」

僕は、今だったら「金をケチって時間を失うことの方が嫌だ」と即答します。

若い頃に少しお金を払っても、その後に元を取れる可能性は十分ありますが(借金は良くないと思うけど)、時間とくに若い時の時間は絶対に取り戻せないからです。

しかし、僕は予備試験受験時代は「金をケチって時間を失う」ことをしました。すなわち独学です。

僕は結果的に1発合格できたのでよかったですが、もし1回目の受験で合格できず、その分弁護士登録が遅れたら、1年・2年という時間に加え、(弁護士としての年収)× (合格が遅れた年数分)のお金も結果的に失います。

予備校に通えば、教材、勉強の方法や順序、勉強範囲の指定、理解を助ける噛み砕いた説明…など、時間を節約して合格可能性を上げてくれる環境が揃っています。

以上から、予備校に通うのがベターだと考えています。

ただ、対面型の予備校に通うことには疑問があります。

授業内容はネット予備校と変わらないのに、「リアル店舗型予備校に特有の経費」が受講料に上乗せされるからです。

shihounoinu.hatenablog.com

②正しい勉強方法を取ること

予備試験受験時代は、科学的に正しい勉強方法を知りませんでした。

当時は、効率的な勉強法を謳った本を十数冊は読んで参考にしました。

しかし、『7回読み勉強法』をはじめ、高学歴の著者の個人的勉強法にすぎず、万人に効果が証明されたやり方ではありませんでした。

司法試験時代の受験勉強では、心理学者がその効果を証明した(≒ほぼ万人に効果的な)勉強法を知ることができ、これを取り入れました。

おかげで、勉強時間が予備試験時代に比べむしろ少なくなったにもかかわらず、予備試験の時より自信をもって本番に臨めました。

僕が今でも取り入れている勉強法は主に以下の2冊です。必読です。

『使える脳の鍛え方』【Amazon】【楽天

『進化する勉強法』Amazon】【楽天


上記2冊の概略は、こちらの記事に書いてあります(司法試験の勉強法最新版 - 予備試験を独学・1年で受験してみた)。

③自分に無理をさせないこと

予備試験及び司法試験時代、長男で両親が定年間際、下の兄弟2人は私立学校に通っている状況でした。

なので、予備試験の受験年であった2018年(大4)では、受験浪人はできないと考え、予備試験と並行で民間企業及び公務員の就活をしました。

現代の文系大学生は、数十社の企業を受験することが一般的だと思います。

僕も、

・予備試験の短答試験(5月)前に複数社(含:公務員試験)受験

・短答試験〜論文試験(7月)で5社以上(含:公務員試験)受験

・論文試験終了後も複数社受験

…と鬼のスケジュールをこなしました。

f:id:SHIHOUnoINU:20181110205207j:plain

20181110 予備試験、独学・1年合格の勉強法【リクエスト】 司法の犬の勉強日記より一部抜粋

スケジュール的にも精神的にも無理をしましたが、余裕(バッファー)を設けないと「予備試験合格」という目標達成を阻害しかねないとことを後で知りました。

『倒れない計画術』【Amazon】【楽天

 

シミュレーション:2021年の年末頃から2023年の予備試験合格を目指すとしたら、司法の犬はどうする?

前提:大学生、無職又は労働時間が非常に短い

理由:僕が予備試験を1年未満で合格したのは、大学生の時でした。時間がある場合以外を前提にシミュレーションをすることができません。

上記「基本方針」で掲げた3原則に従って勉強計画を立てます。

僕であればアガルートアカデミーを受講します(最終的には個人の自由ですが)。

 【PR】

アガルートにする理由は、以下の通り。

・ネット予備校である

 →自分のペースで進められる、リアル店舗型予備校より安い、通学不要

HPに「令和3年司法試験合格者占有率 47.8%」の記載があり(記事作成時点)、どの予備校が良いかわからない状態において安心感がある

・先輩(73期等)に出身者の知り合いが複数名いる安心感

選ぶ講座は、僕なら予備試験1年合格カリキュラム(オプションなし)にします

特にこだわりなければ、これで良いと思います。

予備試験1年合格カリキュラム

時期によって割引していることがあります。リンク先で確認して下さい。

 【2023年合格目標】司法試験|予備試験1年合格カリキュラム 【PR】

(※2022年8月13日追記:リンク先は2024年・2025年合格目標になっています)

 このコースを選ぶ理由は、

・予備校のフルコースに乗っかって勉強すると、独学のような迷い・無駄がない又は少ない

・基礎講座、問題演習講座、過去問講座と、内容が必要最低限かつ十分に揃っている。

・オプションなしでも100通もの添削をしてもらえる(そして経験上、100通も添削してもらわないと思う。但しこれ以上の数の添削を受けたいなら否定しない)

・僕はオプションの通信指導やラウンジ指導は要らないし、進捗管理は自分でできる(自制心の問題では…?)

・講師の答案指導はあればありがたいが、問題演習講座及び過去問講座の問題を繰り返し解くことで足りると思う(但し指導を受けたいという場合はそれも否定しない)

独りでは不安な方がオプション付きを検討することは否定しません。

・問題集について

予備校のテキスト以外に市販の問題集を買うべきかという質問をよく受けます。

予備校に通う人の場合、以下のようにするとよいと考えます。

・予備校の問題集に論点網羅性がある*1のであれば、市販の問題集は使わず、予備校の問題集のみを使用します。

なお、アガルートの重要問題習得講座には網羅性がありましたので、これを利用する場合には市販のものは買いません(選択科目のみ市販問題集を購入するべき)

・予備校で問題集がない場合、論点網羅性がある問題集を1冊のみ購入し、それを繰り返し解きます。

考え方の前提は以下の通り。

予備試験に合格するには試験問題を解けなければなりません。

問題を解けるようになるには、問題演習をしなければならない(上掲書籍『使える脳の鍛え方』『進化する勉強法』参照)。

そこで、僕のやり方は、

・最初期のインプットの時期は短く

・インプットを終えた後は、問題演習が勉強の中心(勉強時間の8割以上が演習)

・論文試験の勉強で全体像をつかんだ後で、短答の細かい知識を仕入れる(俯瞰→細部の流れの方が頭に入りやすい)

モデルスケジュール

以下はモデルケースです(以下2022年1月19日に一部改編)。

~2022年8月10日まで:各科目順次、総合講義300→論文答案の「書き方」→重要問題習得講座の順で視聴する。8月10日までに全科目の視聴を終えたい。

f:id:SHIHOUnoINU:20220301223330p:plain

教材発送スケジュール・講義視聴開始スケジュール(https://s3-ap-northeast-1.amazonaws.com/production.wp.s3.agaroot.jp/wp-content/uploads/2021/08/02183054/2023yobi1_schedule_v8.pdf
総合講義300及び論文答案の「書き方」についてコメント

これらの講座は問題を解くための前提知識です。

できる限り早く終わらせ、早期にメインである問題演習に移ることが望ましいです。

配信が開始されている科目から順次、「総合講義1周→論文答案の「書き方」1周→重要問題習得講座の周回」を行います。

また、総合講義300の受講中などのインプット期に全く問題を解かなくてよいわけではありません。問題を解くことで記憶が定着するので、スキマ時間で問題演習です。

この時期は、インプット講義を受けた分野の一問一答を、講義を受けた日及びその他時間に余裕がある時に解くと、次のステップ(重要問題習得講座以降)にスムーズにつながると思います。

資格スクエア 予備試験短答式問題集app  【PR】

重要問題習得講座の1周目及び2周目以降についてコメント

総合講義及び論文答案の「書き方」を視聴し終わった科目から順次、重要問題習得講座の受講を進めましょう。

講義を受講する前に予習=何も見ずに問題を解くことをお勧めします。何も見ない理由は、思い出すことで記憶が定着するからです。

(テキストを見ながらの回答は、基本方針②で触れた勉強法「思い出すことで記憶の定着を図る」に反し、勉強の効果が薄れます。)

不明な点は、予習答案を作成した後で講義を見る前に、総合講義300のテキストを見返すのがよいでしょう。

重要問題習得講座の中で講義を受け終わった問題については、スキマ時間に、回答を紙に書かずに頭の中で(以下断りない限り同じ)解き直します。

なお、僕の勉強法の核は、

①問題演習の数を増やす(知識を思い出す回数を増やす):書くと1問にかける時間が長くなり、解く問題数が減る

②科目を頻繁に替える(1問ずつ別科目の問題を解くのが理想)

③30分程度勉強したら休憩。目を瞑って新規の情報をシャットダウンする

でした。

問題演習の際は解説を読み、解説を読んでもわからなければ総合講義300のテキストを参照したりします(以下問題演習の際は同様)。

2022年8月11日~同年9月1日頃:重要問題習得講座の問題演習を継続し、並行で法律実務基礎科目対策講座の視聴を完了する

予備試験過去問講座及び旧司法試験過去問講座を解く前に、重要問題習得講座をできる限り多く解き直し、基本知識をある程度定着させます。

これ以降、重要問題習得講座(及び後に触れる選択科目の問題集)の繰り返しは、受験生活における核とします

予備試験は経験上、基本問題において論点を判別し、論証が完璧に書け、ある程度の当てはめができていれば合格できると思うからです。

また、この時期に上記の重要問題習得講座演習とは別に、法律実務基礎科目の講義を視聴しましょう。視聴完了部分につきその都度、下記問題集での演習を開始して、この時期に各問題を1周したいです。

 
民事実務基礎 (予備試験論文 2)
【PR】

 
刑事実務基礎 (伊藤塾試験対策問題集:予備試験論文 1)
【PR】

2022年9月2日頃~同月30日頃:予備試験論文過去問解析講座及び旧司法試験論文過去問解析講座の1周目を終わらせる

スキマ時間は、各論文過去問講座(予備試験論文過去問解析講座及び旧司法試験論文過去問解析講座)の解き直し。

時間に余裕があれば、重要問題習得講座及び法律実務基礎科目問題集の解き直しも。

2022月10月1日頃~同月11日頃・今までに扱ったアガルートの問題講座の解き直し

問題集の解き直しはいくらしすぎても、しすぎるということはありません。

基本問題が完璧に解ければ、余裕を持って試験に合格できるといっても過言ではありません。

選択問題講座がアップロードされるまでのこの時期に、論文問題講座の解き直し回数を少しでも積みましょう。

2022月10月12日~できるだけ早い時期に/しかしスピードを意識しすぎて知識の定着が疎かにならないように 選択問題講座の受講及び問題集での演習

論証の「使い方」講座だけ受講を後回しにします。

講義→過去問解析講座→市販の問題集の順で進めます。

いずれも俯瞰的理解を目的にしており、概観→細かい所の順で勉強したいからです。

選択科目は、講義に付属する基本問題集がないので市販問題集を利用します。

僕は労働法選択だったので労働法の話しかできませんが、労働法であれば、論点の網羅性が高い『事例演習労働法』を使用します。

僕は「ホームランは狙わず、どんな問題が来ても一定水準の答案を作る(それができれば受かると思います)」ことを目標にするので、問題集には論点の網羅性を求めます

スキマ時間は、基本7科目又は選択科目の問題演習をします。

『事例演習労働法 第3版補訂版』

Amazon】 【楽天

上記終了後~2023年1月15日:論証集の「使い方」講座を受講。同時に、重要問題集習得講座、選択科目問題集、法律実務基礎科目問題集及び各論文問題過去問講座を解き直し(スキマ時間も同様)

この時期が始まる前には、重要問題習得講座は4~5周以上しており、特に基本7科目については論文問題を解ける基礎は固まっていると思います。

この時期に知識にさらなる磨きをかけたいです。

そこで、この時期の初めに論証集の「使い方」講座(選択科目含む)を受講し、基本的な論証の復習をします。

その後、論証集で得た知識を定着させるため、重要問題習得講座、選択科目問題集、法律実務基礎科目問題集、各論文過去問講座を繰り返し解くことで、論証の知識を定着させるとともに、論文問題の論点判別・解答の精度を上げます。

この時期で論文に関しては合格レベルにまで達することも可能かと思います(但し、短答対策集中期間を挟むと論文への対応力が落ちる場合あり)。

予備試験は基本問題で構成されると言われますので、基本問題を精度高く書ければ合格できる可能性が十分あるからです。

また、この時期から1~2週間に1通程度、本番同様に答案を紙に書く(起案する)ことで自分の弱点を知る(知識の正確さ、時間配分の適切さ等)ことができれば理想です。

本番を見据えた予行演習という意味で、起案する問題は予備試験の過去問が理想。

起案した問題は添削を受け、添削を受けた後にもう一度起案し直すとベスト。

この時期において、重要問題習得講座及び選択科目問題集、法律実務基礎科目問題集、各論文過去問講座を各2周以上はしたいです。

2023年1月16日頃~5月中旬(短答試験本番):短答対策・強化期間

この頃から短答対策をするのが現実的と思います。

これより遅いと短答試験の合格が怪しくなるかもしれませんし、これより早いと最難関の論文試験の対策が疎かになりかねません。

予定が後ろ倒しになった人は2月上旬〜中旬に短答対策を開始し、一方、予定を前倒しにできた人や短答試験に自信のない人はもう少し早くスタートしてもよいです。

まず、短答講座(Ⅰ:20時間、Ⅱ:125時間、過去問:97時間)は大学の春休みなどを活用し、3月初旬には受講し終えたいところです(もちろん予習の際に問題を解きます。短答の場合はア〜オ等の記号を書くだけなので講座受講前の予習で回答は紙に書きましょう)。

スキマ時間は短答問題の演習が中心です。

アガルートの短答講座には全年度の過去問が含まれているようなので、それのみを使用します。

初期に使用した資格スクエアのアプリやその他の市販の問題集等は一切使用しません。

時間は有限なので、網羅性のあるアガルートの短答講座だけをやるのが時間配分の観点から合理的です。

短答講座全部を視聴した後は、短答問題をひたすら解きます。短答試験本番までに全科目最低5周したいです。

また、僕は受験生時代、この時期に短答対策に集中しすぎて論文の実力が落ちることを懸念していました(受験生の中にはそうなってしまう人もいたようです)。

ですので、この短答対策期間においても、論文問題を少し演習します。

答え合わせを含め1日30分~1時間程度で収まるくらいの演習量(僕であれば1日3~6(選択科目含む)科目×各科目1問ずつの合計3~6問の論文問題)を、頭の中で演習します。

試験本番前は体調にも配慮し、夜更かしはしないで下さい。

shihounoinu.hatenablog.com

2023年5月中旬(短答試験終了)~7月中旬(論文本番):重要問題習得講座、選択科目問題集、法律実務基礎科目問題集及び論文過去問講座の解き直しがメイン。予備試験答練と法律実務基礎科目答練をペースメーカーに。

重要問題習得講座はこの時期に解く回数を含め累計8~10周以上、その他の問題集及び論文過去問講座は累計5~6周以上できればよいです*2

ただし、たとえ短答集中対策期間までに上記の周回数を既にこなした場合であっても、この短答試験と論文試験の間の時期に各問題を最低2周はします

やっぱり本番前にしばらく解かないと忘れるからです。

本番で答案用紙に書けなければ今までの努力も水の泡。

直前期には記憶のメンテナンスとして、特に重要問題習得講座、選択科目問題集、法律実務基礎科目問題集といった論点網羅的な問題集は解き直します。

また、論証集のチェックも問題演習と並行してコツコツ行えるとよいですね。

そして、アガルートのカリキュラムにある予備試験答練及び法律実務基礎科目答練は、全科目しっかり答案を書き(起案し)ましょう。

本番のシミュレーションとして、回答時間等は本番同様の環境で解きます。

 

試験本番前は体調にも配慮し、決して夜更かしはしないで下さい。

論文試験終了後~論文試験合格発表:好きにするがよい

理想は口述に備えて勉強することですが、僕はやる気が起きませんでした。

なので、毎日公園で2時間くらいぼーっとした後、アニメ『メジャー』を見ていました。

頑張れるなら、スキマ時間くらいは法律実務基礎科目(口述試験の科目)の解き直しを中心に勉強してもいいかも。

論文試験合格発表~口述試験(僕が受験した2018年は10月下旬でした):2週間ちょっとしかありません!!!

死に物狂いで法律実務基礎科目の勉強。

口述模試はもちろん受けよう。

民事は要件事実がメインで、あとは要件事実以外の民法、民訴法の知識がちょっと。

僕は弁護士職務基本規程の問題が出なかった人ですが、受任不可事件や利益相反をはじめとする頻出問題は答えられるようになりたい。が、弁護士倫理の深追いは禁物。メインじゃない。

でも、皆さんはこの期間に0から詰め込むのではなくて、これまで知識を積み上げてきているはずなので、多分大丈夫*3!

刑事は刑法と刑訴法、刑訴規則の基本的知識があれば大丈夫。

 

試験本番前は体調にも配慮し、決して夜更かしはしないで下さい。

論文試験に合格していれば、確率的に口述試験もほぼほぼ通ります。

緊張したり不安になってしまうのは(思い出したくないほど)よく分かるのですが、気負いせず、ホテルでテレビでも見ながらハーゲンダッツでも食べてリラックスする方がいいと思います!

一般教養講座の取り扱いについて

一般教養の対策講座は多分見ません。

しかし、10時間程度と長くないので、一般教養問題に不安があり、かつ余裕があるなら電車内等スキマ時間で聞き流してもいいかもしれません。

一般教養は、大学受験を一般入試で合格したので対策の必要性を感じませんでした。

実際、僕は一般教養の短答は39/60点だったので、この考えは変わっていません。

僕は短答・論文共に一般教養は無対策でしたが、基本的には一般教養は対策しないでいいんじゃないかと思います(2022年以降の予備試験では論文試験から一般教養がなくなるそうです)。

あとがき

以上を参考にしてもよいですが、ご自身に合うようにカスタマイズしましょう。

※特に勉強開始時期は人により異なると思いますので、アレンジして下さい。

タスクは後回しにしない方がよい(むしろ前倒ししたいくらい!)ですが、仮に思い通りに行かなくとも、原則③の通り自分を追い込まないように。

 

今回のシミュレーションに用いた講座:

予備試験1年合格カリキュラム

 【2023年合格目標】司法試験|予備試験1年合格カリキュラム 【PR】

(※2022年8月13日追記:リンク先は2024年・2025年合格目標になっています)

 

*1:ここでは頻出論点を隈なくカバーしていることを「網羅性がある」ということにします。

*2:

ちなみに僕は、予備試験受験時代に『スタンダード100』という論文問題集を使用したのですが、論文試験までに各科目12~14周の問題演習をしたとの記録があります

shihounoinu.hatenablog.com

*3:僕はこの時期に0から詰め込みました。ひどい出来でした。

予備試験・司法試験の論文試験結果待ちで暇な時期の過ごし方

理想の結論:勉強(9/20追記:コメント欄で「司法の犬が論文合格発表まで勉強するとしたら、何を勉強する?」との質問に答えました

現実的な結論:下記のとおり

 

理想と現実(もうこれ以上勉強なんてやってられるか!笑)

予備試験又は司法試験の論文試験の結果待ちをしているこの時期、皆さんいかがお過ごしでしょうか。

僕は、受験生時代に、この時期をどう過ごすべきかについて迷いがあったので、合格者のブログ等を読み比べていました。

当時の情報発信をしていた合格者が意識が高い人ばかりだったのか、

予備試験の論文結果待ちの時は、勉強しろ。

合格していた場合には司法試験の受験でこの時期に休んでいたライバル受験生に先んじることができる。

また、不合格の場合でも、翌年の予備試験再チャレンジにあたって、この時期に休んでいたライバル受験生よりも有利になる。

司法試験の結果待ちの時は、勉強しろ。 

合格して修習に行ったら忙しくて民法や刑法の基本書を読み直している暇はない。また、要件事実の勉強をするのも良いだろう。

不合格の場合は、翌年の再受験の時にこの時期に勉強を休んだライバル受験生を引き離すことができる。

などと書いている人が(感覚的に)半数以上だった気がします。

 

 

しかし!

現実は理想どおりに行きません。

「今まで散々勉強したっていうのに、まだ勉強し続けろと言うのか!?」という思いでした。

この考えには、皆さんも同意してくれるんじゃないでしょうか?

 

 

結局のところ、僕は、

・予備試験の論文試験終了後〜論文試験合格発表

及び

・司法試験終了〜司法試験合格発表

の期間は、全く勉強しませんでした*1

 

試験が終わってから最初の数日は、「ちょっとは勉強しなきゃな〜」とか思っていたのですが、どうにも気分と腰が重く、勉強する気になれませんでした。

 

そこで、「合否の発表までは休んで精神的にリフレッシュする!」と開き直りました。

今回は、論文試験合格発表待ちの時期にどんなリフレッシュをしていたかについて、ご紹介します。

「学生の身分である、又は大学若しくは法科大学院を卒業した無職期間であり、十分な収入がない」ことを前提とします。

 

リフレッシュのメニュー(ぼっち用)

①短期バイト(司法試験終了後の2019年6月~8月に実践)

僕は、お中元シーズンに、郵便局の仕分けや運送会社の配達の期間限定バイトをしていました。

普段は、試験勉強で頭を使う作業ばかりしていたので、上記のような体を使ったアルバイトは良い気分転換になりました。

 

お金がなさすぎたので、修習が始まるまでの期間にちょっとでもお金を貯めようというわけです。

例えば、配達のバイトは午前中のみでしたが、週6で働いたので、月に13万円ちょっと貰えて、結構ハッピーでした。

 

②旅行(特に海外旅行 ※2021年8月31日の執筆時点では旅行目的での海外渡航不可)

(今はコロナウイルスの関係でそもそも厳しいですが)修習に入ると、二回試験が終わるまでは事実上海外旅行に行けなくなるので、修習に入る前にヨーロッパに旅行に行きました。

なお、旅行代金は上記①のアルバイトによる給料を充てました。

 

国内旅行

2019年7月に北海道、同年9月に奈良・京都に行きました。

f:id:SHIHOUnoINU:20210831003450j:plain

富良野市内のラベンダー畑(北海道・富良野市)2019年7月

f:id:SHIHOUnoINU:20210831001333j:plain

京都仙洞御所(京都市上京区)2019年9月

北海道には、じゃらんの飛行機&宿泊パッケージを利用して行きました。

奈良・京都には、交通手段としては東海道新幹線のスマートEXを、宿泊予約にはじゃらんを利用して行きました。

 

修習開始前は特にお金の余裕がなかったので価格重視だったのですが、

そのような僕にとっても、じゃらんは個人的に満足できるサービスでした。

 

海外旅行

2019年11月に、STWという旅行会社を利用してヨーロッパへ行きました。

stworld.jp

価格は、HISやJTBなどの大手に比べて数万円単位で安かったです。

また、この会社が一部の地域で行っている「ベアフットツアー」という名の、現地人が日本語で案内してくれる散策ツアーでは、旅行ガイドには載っていないようなその街の面白さを教えてくれました。

知的好奇心が満たされて非常に楽しかったです。

参加者は、僕と母の2人だけだったのでガイドさんとの距離も近く、お喋りも楽しめました。

 

マイナーな企業かもしれませんが、僕的には非常に利用満足度が高かったです。

f:id:SHIHOUnoINU:20210829121654j:plain

ベアフットツアー参加時に撮ったカレル橋(チェコプラハ)2019年11月

 

f:id:SHIHOUnoINU:20210831000544j:plain

オーストリア国立図書館(※2019年11月時点でウィーンにおけるベアフットツアーはありませんでした。)

 

③ 金を使わずに暇を潰す

具体的には、

YouTubeなどの完全視聴無料サービス

・U-NEXT、Hulu、DAZN等の期間限定の無料キャンペーンをしている動画サブスクリプション・サービス

で動画を見まくって暇を潰していました。

 

あまりに暇だったので、

DAZNでは、夜はレアル・マドリード戦(スペインサッカー)を、朝はMLBをリアルタイムで観戦していました。

・U-NEXTではコナンの映画全作品を2周しました。

・動画サブスクリプション・サービスに入っていない期間は、YouTubeで色んな動画を見ていました。

 

なお、お金がなかったので、動画サブスクリプション・サービスについてはいずれも無料期間終了の数日前に退会しました。

めっちゃ嫌な利用者ですよね…*2

 

 

U-NEXTさん、コナンの映画楽しかったです、ありがとうございました。

(でも月額1,980円とちょっと高いので、無料期間だけ楽しませていただきました汗)

 

 

というわけで、

・無料期間だけ楽しんで、無料期間が終了すると同時に他のサービスの無料キャンペーンを利用する

・多少お金に余裕があると言う方は、NetflixAmazonプライム・ビデオを利用する

ということをすれば、約3〜4か月間の結果待ち期間を楽しく過ごせるんじゃないでしょうか。

 

僕は自分に過度なプレッシャーをかけやすい性格だったので、こういった動画サービスは良い気晴らしになりました。

自分を精神的に追い詰めすぎる方、プレッシャーを感じやすい方にとって、動画に没頭する日々を送りつつ合格発表を待つことは、ひとつの解決策になるかもしれません。

 

 

 

*1:多分、1秒たりとも勉強していません。もしかしたら記憶にないだけで、トイレや風呂の中で1日10~15分程度問題を解くくらいのことはやっていたかもしれませんが…

*2:ただし、修習中、DAZNだけはクラシコというレアル・マドリードVSバルセロナの試合の時だけ再入会をして、年間あたり2か月間分の正規料金を払っていたので許してほしい。

予備試験合格者と法科大学院出身者の比較ー弁護士になった後の満足度

日本弁護士連合会が発行する「自由と正義」の2021年7月1日発行(臨時増刊号)第72巻第8号(以下「本誌」という。)のテーマは、

弁護士業務の経済的基盤に関する実態調査報告書2020

でした。

 

本誌の192〜194頁において、法科大学院出身者・予備試験合格者の特徴」という切り口で両者の弁護士という職に対する満足度等の比較がされていたので、

一部をご紹介しつつ、調査結果に対する個人的考察をしてみます。

 

以前出した記事とも内容が被る箇所があるかもしれませんが、こ勘弁願います。

shihounoinu.hatenablog.com

 

 

調査結果の引用(本誌193〜194頁)

法科大学院出身者の仕事の状況

⑴弁護士業務

40代以下・法科大学院出身者の弁護士では、

・債権回収

・交通事故

債務整理

の各業務に「多くの時間を使った」と回答した人の割合が、それ以外の回答者よりも多かったとのことです。

逆に、

・企業法務

に「多くの時間を使った」と回答した人の割合は、それ以外の回答者よりも低かったとのことです。

⑵満足度

法科大学院出身者は、

・「社会的意義のある仕事ができること」への満足度が、他の回答者よりも低い

・「自分の裁量で自律的に仕事ができること」への満足度が、他の回答者よりも低い

・「男性も女性も平等に仕事ができること」への満足度が、他の回答者よりも低い

・「弁護士としての自分の将来性」への満足度は、統計的に有意な差は見られなかったが、法科大学院出身者の満足度がわずかに低いという程度

という結果が出ました。

予備試験合格者の特徴と仕事の状況*1

⑴弁護士業務

予備試験合格者は、

・知的財産

・企業法務

の分野を業務としている回答者の割合が、予備試験合格者以外のグループと比べて高いとのことです。

逆に、

・家族

の分野を業務の内容とする回答者の割合は低かったとのことです。

⑵満足度

予備試験合格者は、

・「自分の裁量で自律的に仕事ができること」に対する満足度が、他のグループと比較してかなり低い

・「弁護士としての自分の将来」に対する満足度は、他のグループよりもやや高い

 という結果が出ました。

 

この調査結果に対する、司法の犬の実体験に基づいた偏見まじりの主観的分析

業務分野について

以上のように、法科大学院出身者は「一般民事」業務を扱い、予備試験合格者は「企業法務」を扱う人の割合が多いという結果になっています。

これは修習時代の同期の経歴及び就職先事務所の取扱業務と照らし合わせても、よく当てはまっています。

以下、僕の修習期である73期の弁護士を具体例としながら、深堀りしていきます。

⑴予備試験合格者の就職先と業務分野

僕は修習期間中、「予備試験合格者の修習生であって、修習開始時点で25歳以下の人」と十数名会いましたが、全員企業法務専門の事務所(大半が四大法律事務所*2でした)に行っており、一般民事を扱う事務所に行く人はひとりもいませんでした。

ちなみに僕は修習開始時点で23歳でしたが、企業法務を専門とする事務所に就職しています。

一方、予備試験合格者の修習生であっても社会人経験等を経て30代後半、40代又はそれ以上という人たちは、一般民事とインハウスが主流で、非常に少数ながら即独*3もいました。

法科大学院出身者の就職先と業務分野

一方、法科大学院出身者は、その年齢・経歴によって大分様相が異なっていたと思います。

東大法科大学院、一橋法科大学院慶應法科大学院などの上位校出身者で、司法試験を1回目の受験で合格した人々のうち、修習時点で25~26歳の人たちは、

その多くが四大法律事務所をはじめとする企業法務の法律事務所に行っていました。

ただ、あえて企業法務を避け、一般民事の事務所にいく人も少数ながらいました。

一方、

・複数回受験、とくに司法試験3回目以上の受験で合格した法科大学院出身者

・修習時点で30代後半、40代又はそれ以上の年齢の法科大学院出身者

に関しては、企業法務の事務所へ行く人は極めて少なくなり、ほとんどが一般民事又はインハウスへ行っていました。また、こちらも非常に少数ですが即独する人がいました。

しかしながら、このような人たちの中でも、ある外国語についてネイティブスピーカーである人や、省庁勤務など特殊な経歴を持っていた人は、名門といえる企業法務事務所に就職していました。

極めて少数かつ特殊な例ですので、あまり参考にならないかもしれませんが…

満足度について

まず、法科大学院出身者及び予備試験合格者の両者とも共通して、

「自分の裁量で自律的に仕事ができること」

への満足度が低いという結果が出ています。

これは、今アソシエイトの人が多く、パートナーから指示を受けて仕事をするような下働き的な働き方をしていることが原因ではないかと思います。

法科大学院出身者は60期以降、予備試験合格者は66期以降であり、法曹界では若手と位置づけられる部類です。アソシエイトがパートナーになるまでには10年程度を要する事務所が多いようですので*4法科大学院出身者及び予備試験合格者の大部分は未だアソシエイトだろうと思います。

なお、本誌の150頁によると、

「自分の裁量で自律的に仕事ができること」に対する満足度は、

弁護士全体で80.7%が「満足」と回答していますが、

そのうち、

経営に携わる弁護士の89.4%が「満足」と回答する一方で、

経営に携わらない弁護士で「満足」と回答する割合が74.8%に留まることからも、

上記の考察を裏付けるのではないかと思います。

僕の個人的感想としては、両者とも年次を重ねてパートナーになったり、独立してボス弁になったりすれば、「自分の裁量で自律的に仕事ができること」への満足度は上がるのではないかと思います。

修習中、弁護修習で担当弁護士だった60期の弁護士も「独立してからは裁量が持てて楽しい」と仰っていましたし、僕の所属事務所の61期のパートナー弁護士も「パートナーになって以降は、アソシエイトの頃より裁量があって楽しい」と言っていました。

要は、「自分の裁量で自律的に仕事ができること」への満足度については、法科大学院出身者か予備試験合格者かという問題ではなく、

経営者弁護士か勤務弁護士かという問題に尽きるのではないかというのが僕の考察です。

なので、年次を重ねて経営者側へ回る人が増えるにつれて、法科大学院出身者・予備試験合格者の両者とも「自分の裁量で自律的に仕事ができること」への満足度は高まっていくだろうと思います。

 

 

次に、法科大学院出身者と予備試験合格者で明暗が分かれた「弁護士としての自分の将来」に対する満足度についてです。

以下、本記事の中でも特に個人的な感想になりますが、

修習中に会った、予備試験合格者の修習生であって修習開始時点で25歳以下の人は、勝ち組意識が強い人が多かったです(笑)

という冗談は置いておいてですね…

修習中、複数の弁護士と会って話を聞きましたが、その中で、

弁護士の数が増えて競争が激しくなっている昨今、多くの人がやっている一般民事業務は、特に差別化するものがなければ今後もさらに厳しくなって行くだろう

という声が聞かれました。

例えば、債務整理、離婚、相続、交通事故…等は業務の内容が一般化されていて、大体の手順や作業内容が決まっているため、差別化が難しく、また、参入障壁が低いそうです。

一般民事分野は、需要は一定であるものの供給が増えているというのが実態ではないでしょうか

他方で企業法務、例えば知的財産、海外M&A、競争法など専門性の高い分野は、扱える事務所が限られているため、一般民事ほどは競争が激しくないだろうなあ…と、企業法務の分野に身を置いている者として内側から感じます。

企業法務分野は、需要は一定でありながらも供給も一定であり、また、専門性等の参入障壁の高さから供給が急激に増える見込みも特にないというのが実情だと思います

四大法律事務所なんかが典型例だと思います。

以上のような理由から、一般民事に従事する割合が多い法科大学院出身者は将来を悲観し、企業法務を扱う予備試験合格者は将来を楽観視しているのではないかな、と思います。

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

当ブログでは、

⑴ネット予備校の利用 

⑵正しい勉強法で勉強すること

⑶精神的に頑張りすぎないこと

をお勧めしています。 

 

⑴についての記事 

shihounoinu.hatenablog.com

⑵についての記事 

shihounoinu.hatenablog.com

⑶についての記事ー下記記事中、「2.基本方針」の「③自分に無理をさせないこと」

shihounoinu.hatenablog.com

 

 にほんブログ村

*1:今回の調査では予備試験合格者の回答数が30と、サンプル数が極めて少なかったそうです。

*2:西村あさひ法律事務所、森・濱田松本法律事務所、 長島・大野・常松法律事務所、 アンダーソン・毛利・友常法律事務所の総称

*3:修習の修了と同時に、どこの事務所へも就職せず、独立開業すること

*4:僕の所属事務所も同様です

僕が今から2022年の予備試験合格を目指すとしたら〜勉強計画シミュレーション〜

(9/10追記・注意書き)

この記事をアップロードした時点でさえ、スケジュール的にかなりキツキツのシミュレーションでした。

今から2022年の予備試験合格を目指すことは時間的にかなりの困難が伴うと思いますので、推奨はしません(もちろん個人の自由であり、また、個人により能力差はありますので、自己の自由な意思により2022年合格を目指すことは否定しませんが)。

 

超長文記事になりました。すみません。

外野からの「僕だったらこうするかな〜」というお気楽なシミュレーションです。

この通り勉強したからといって合格が保証されるわけではありませんので悪しからず。何においても個人差はありますからね。

f:id:SHIHOUnoINU:20210730005745j:plain

そういえば弁護士バッジの写真出してなかったですね。

 

僕についての自己紹介

僕は1996年度/平成8年度生まれの、2018年予備試験合格者/2019年司法試験合格者で、73期司法修習を経て、今は新人弁護士として細々と業務に励んでおります。

法学部法律学科の出身ではなく、大学時代は経済学、認知心理学社会心理学社会学政治学などを学習しておりましたが、2017年(大3)の夏休みの幕開け(今くらいの時期ですね)と同時に予備試験の学習を独学で開始しました。

学習開始当初から翌2018年の予備試験合格を目指していたものの、最後まで合格できるかは半信半疑でした。

結果的に運良く、目標どおり2018年の予備試験に合格できました。

予備試験・司法試験を受験・合格など一通り経験し終わると「あの時もっとああすればな〜」という後悔の念が湧いてくることがあります。

受験生時代は、受験生としてのリアルタイムな情報を配信していましたが、

現在は予備試験・司法試験の経験者として一歩引いた目線から、過去の自分に向けて「あの頃の俺、こういう風にしとけばよかったんじゃないの?」ということをテーマにブログを(何とか)更新し続けています。

 

基本方針

このブログでの3原則は、

①正しい方法を取ること=ネット予備校を利用すること

②正しい勉強方法を取ること

③自分に無理をさせないこと

です。

 

①正しい方法を取ること=ネット予備校を利用すること

 

まず、過去の自分に質問したいことがあります。

「寿命が来て死ぬときに後悔することは、若い時に時間をケチって金を払うことか、金をケチって時間を失うことか?」

僕は、今だったら「金をケチって時間を失うことの方が嫌だ」と即答します。

若い時にお金を少し失っても、その後の人生でそのお金は取り戻せる可能性は十分残されていますが(でも借金は良くないと思う)、

若い時に時間を失うと、時間とくに若い時の時間は絶対に取り戻せないからです。

しかし、予備試験受験時代は「金をケチって時間を失う」ことをしていました。

独学です。

予備校に通えば、教材、勉強の方法や順序、勉強範囲の指定、理解を助ける噛み砕いた説明…など、時間を節約し、また、合格可能性を上げてくれるものが揃っています。

僕は独学で運良く合格したラッキーボーイだから良かったようなものの(周囲、インターン先の法律事務所、ネットなど色んなところで「まぐれ」「運が良かったね」と言われ、僕自身もそう思ってます)、

もし1回目の受験で合格できず、2回目、3回目…と合格が長引き、その分弁護士としてデビューするのが遅れたら、1年・2年という時間を失うことはもちろん、(弁護士としての年収)× (合格が遅れた年数分)のお金も結果的に失うことになる…と想像すると、ちょっと怖いです。

資格試験を含めて世の中は確率の勝負だと思っていますが、早期の合格可能性を上げる予備校利用という選択をせず、独学を選んだ2017年当時の僕は愚かだったと思います。

 

②正しい勉強方法を取ること

また、予備試験受験時代は、科学的に正しい勉強方法を知りませんでした。

図書館に行って効率的勉強法と書かれた本を十数冊は読み、参考にしました。

しかし、『7回読み勉強法』など、冷静になって思い返すと、高学歴の著者の個人的な勉強法で万人にとってその効果が証明されたやり方ではありませんでした。

司法試験時代の受験勉強では、心理学者による科学的に証明された(≒ほぼ万人に効果的な)勉強法を知ることができ、これを取り入れました。

おかげで、勉強時間は予備試験時代と変わらない(直前期等はむしろ少なくなった)にもかかわらず、記憶の定着が良くなったような感覚が得られ、予備試験の時よりは自信をもって試験本番に臨めました。

なお、僕が今でも取り入れている勉強法は、主に以下の2冊です。

これらは必読として、可能な限り早く導入することをお勧めします。

 

『使える脳の鍛え方』【Amazon】【楽天

『進化する勉強法』Amazon】【楽天


 上記2冊の概略は、こちらの記事に書いてあります。

司法試験の勉強法最新版 - 予備試験を独学・1年で受験してみた

③自分に無理をさせないこと

僕は、予備試験及び司法試験時代、3人兄弟の長男で両親が定年間際、兄弟2人は私立学校に通っているという状況でした。

そこで、予備試験の受験年であった2018年(大4)では、予備試験に受からずに浪人などできない…などと考え、予備試験の受験と並行して民間企業及び公務員の就職活動をしていました。

予備試験の短答試験(5月)前に複数社(含:国家公務員総合職及び裁判所職員等の公務員試験)受験、

短答試験〜論文試験(7月)で5社以上(含:公務員試験)

論文試験終了後も複数社受験(同上)

…と鬼のスケジュールをこなしていました。

 

f:id:SHIHOUnoINU:20181110205207j:plain

20181110 予備試験、独学・1年合格の勉強法【リクエスト】 司法の犬の勉強日記より一部抜粋

 

予備試験の片手間でやっているわけなので、身が入らずただ時間を無駄にしていたのですが、当時の僕としては、

「予備試験に合格できなかったら、しばらく無職になるから、どっかの企業の内定は持っておきたい…」という無駄なプレッシャーを抱えていました。

逆に、予備試験の勉強をしているときは、「どこ企業の内定も持っていないから、予備試験に受からないと後がない…」と自分を精神的に追い込んでいました(勉強時間量では追い込めませんでした笑)。

精神的に無理をしないことは大事です。

…ということに、精神的に追い込まれ切った予備試験論文試験終了後に、この本を読んで気づけました。

金閣寺銀閣寺の住職が教える 人生は引き算で豊かになる』【Amazon】【楽天

※上記勉強法の本と違い、科学的にその効果が証明されているわけではないと思います

 

また、2018年の僕は予備試験の勉強、一般企業への就職活動等上記のようにスケジュールをギチギチに詰め込み、かなり無理をしていましたが、

このような無理は目標の達成を阻害しかねないということが科学的に証明されたということを後になって知りました。

皆さんは計画に余裕を持たせましょう。

 

『倒れない計画術』【Amazon】【楽天

 

 

シミュレーション:2021年の夏休み始めから2022年の予備試験合格を目指すとしたら、司法の犬はどうする?

前提:大学生、無職又は労働時間が非常に短い

理由:時間があるからです。

現在僕はフルタイム労働者(のようなもの)ですが、フルタイムで仕事をしている状況で、1年未満の合格は僕だったら気分的に(疲れているので)無理です。

できる人もいるかもしれませんが、僕だったら無理です。

 

まず、7月下旬から9月20日頃まで大学は夏休みになります。

多少の増減はあるでしょうが夏休みは合計60日と仮定します。

通学、授業、テスト勉強…全部ありません。

 

まず、僕だったら即座にアガルートアカデミーを受講します。

2022年合格を目指すのであれば、この時期に予備校選びに時間をかけている余裕はありません。

 【PR】

 

アガルートにする理由は、僕が大学生と仮定すると以下のようになると思います。

・ネット予備校である→自分のペースで進められる、実店舗予備校より安い、通学不要

HPに「司法試験の合格者占有率44.8%」の記載があり(記事作成時点)、全く知識がなくどの予備校が良いかわからない状態で、安心感がある

・先輩(73期等)に出身者の知り合いが複数名いる

 

選ぶ講座は、僕なら予備試験1年合格カリキュラム(オプションなし)にします

予備試験1年合格カリキュラム 

現在(2021年8月10日更新時点)、2022年合格目標・2023年合格目標ともに30%割引中

【2022年合格目標】司法試験|予備試験1年合格カリキュラム【PR】

 

 理由は、

試験までの残り時間がない中でどのようなアプローチで行くか迷っている暇はなく、予備校のフルコースに乗っかって勉強(理解作業と記憶作業)に集中するのが合理的

・基礎講座、問題演習講座、過去問講座と、内容が必要最低限かつ十分に揃っている。

・オプションなしでも100通もの添削をしてもらえる(そして経験上、多分そんなにしてもらわないと思う)

・僕だったらオプションの通信指導とかラウンジ指導とか要らないし、進捗管理は自分でできる(自制心の問題では…?)

・答案指導はあればありがたいけれど、問題演習講座及び過去問講座で扱った問題を繰り返し解くことで十分足りるのではないかと思う

 

また、方針としては、「概観を把握してから細部を把握する」方が頭に残りやすいこと、及び予備試験は論文試験が難関とされていることなどから、論文試験の勉強を優先して行うこととすると思います。

 

問題集について

問題集をどうするかについては、以前にもブログで書いたことがありますが、

予備校に通う人の場合は、以下のようにするのが良いのではないかというのが僕の考えです。

・予備校の問題集に論点網羅性がある*1のであれば、市販の問題集は使わず、予備校の問題集のみを使用します。なお、アガルートの重要問題習得講座には網羅性がありました。

・予備校で問題集がない場合、論点網羅性がある問題集を1冊のみ購入し、それを繰り返し解きます。

 

~2021年9月15日:総合講義300、選択科目講座の総合講義部分及び論文答案の「書き方」を全て視聴する。 

アガルートの上記HPでは、上記講義の視聴は12月までを目標としていますが、

僕は正直このペース感は遅いんじゃないかな〜と個人的に思います。

なんだかんだ試験が近くなると、「あれが終わっていない」「これもまだだ」となるのが通常だと思いますので、予定は早め早めで前倒しするくらいが丁度良いのではないかと思います。

僕が司法試験受験生の時代に、資格スクエアの加藤講師のブログを拝見したことがあり、そこには

「途中答案(試験終了までに答案を書ききれない)になる人は、焦るのが遅い。」

「もっと早い段階からペースを上げて書いていれば、途中答案になりにくい。」

旨が書かれており、これは確かにな〜と思いました。

そして個人的には、これは試験当日の話に限定されず資格試験の受験計画でも同じなんじゃないかな〜と今でも思っています。

見出しの通りのペースで視聴したとしても、

310時間程度(上記3講座の合計時間)/50日=6.2時間/日

と決して無理な数字ではありません。

もう少し早めに視聴を完了することも十分ありえるレベルです。

 

また、上記講座とは別に、短答問題集である『肢別本』(辰巳法律研究所)を勉強の初期にのみ使用する目的で購入します。

この問題集は、入浴中の浴槽内、トイレの中、通学時間中、就寝前の10分など(以下、「スキマ時間」といいます)に、視聴した講義の範囲に相当する短答問題を頭の中で(つまり、書かない)軽く解いて、問題を解くことで基本問題についての記憶を定着させます。

なぜ『肢別本』かというと、一問一答形式である(本番の短答試験は一問一答ではありません。)ため、多肢選択型(5つの選択肢から1つの正解を選ぶ等)に比べて、一つ一つの問題に対する注意が払われると思うからです。

なお、勉強の初期に基礎知識を定着させる目的のみに使用するので、★マーク付きの問題集のみを解きます。

 

この期間が踏ん張り所だと僕は考えています。

~2021年10月31日:重要問題習得講座の視聴を完了する

65時間程度ではありますが、大学があり、予習があり(頭の中で一応回答or紙に論点及び論証と当てはめの大枠だけ書いて回答→講義視聴)、復習があり、わからない箇所を基礎講座(総合講義300)テキストで確認する作業があり…ということを考えると、1周目の終了はある程度余裕を持たせて見積もりました。

もちろん、余裕があれば前倒しすることも考えられます。

この期間もスキマ時間には、重要問題習得講座の問題を回答を紙に書かず頭の中で(以下、断りない限り同じ)解き直します。もちろん、問題演習の際は解説を読み、解説を読んでもわからなければ総合講義300のテキストを参照したりします(以下、問題演習の際は同様)。

 

また、この期間から並行して、選択科目の問題集を解き始めます。

僕は司法試験で労働法選択だったので、労働法のことしか知りませんが、

労働法なら論点の網羅性が高い『事例演習労働法』を使用します。

僕は「どんな問題が来ても一定水準の答案を作る(そうすれば受かる)」ことを目標にしますので、問題集の選択においては論点の網羅性を重視します。

『事例演習労働法 第3版補訂版』

Amazon】 【楽天

 

~2021年12月10日:重要問題習得講座の問題及び選択科目の問題集解き直し(=2,3周目)、並びに法律実務基礎科目対策講座視聴完了

予備試験過去問講座及び旧司法試験過去問講座を解く前に、基礎固め(基本問題である

重要問題習得講座の問題の内容をある程度頭に入れる)を行います。

これ以降、重要問題習得講座及び選択科目問題集の繰り返しは、受験生活における核とします

基本問題において論点を判別し、論証が完璧に書け、ある程度の当てはめができていれば予備試験は合格できる試験だと思っているからです。

スキマ時間の扱いは上記期間と同じ。

これらの演習とは別に、法律実務基礎科目の講義視聴をしつつ、同時並行で(視聴完了部分につき視聴完了次第その都度)以下の問題集での演習をスタートさせます。

 
民事実務基礎 (予備試験論文 2)

 
刑事実務基礎 (伊藤塾試験対策問題集:予備試験論文 1)

 

~2022年1月15日 予備試験論文過去問解析講座、旧司法試験論文過去問解析講座及び選択科目講座の過去問解析講座部分の視聴を完了し、1周目を終わらせる

講義時間数はさほど多くありませんし、冬休みも入るのである程度余裕があると思いますが、予習があり、復習があり、わからない箇所を基礎講座(総合講義300)テキストで確認する作業があり…という手間があることを考え、若干余裕を持たせました。

スキマ時間の扱いは上記各論文過去問講座の解き直し。

 

~2月20日頃の1ヶ月強 論証集の「使い方」講座を受講するのと並行して、重要問題集習得講座、選択科目問題集、法律実務基礎科目問題集及び各論文問題過去問講座の解き直しをする(スキマ時間も同様)。

この時期には途中から春休みに入るため、余裕のある時期だと思います。

この時期が始まる前には、 既に重要問題習得講座及び選択科目問題集は解き直しを含めて4~5周、各論文過去問講座を1~2周はできており、論文問題を解ける基礎は十分に固まっていると思います。

この時期にはさらに磨きをかけたいと思います。

そこで、この時期の初めに論証集の「使い方」講座(全36時間程度:労働法の場合)を受講し、基本的な論証の復習をします。

その後、論証集で得た知識を定着させるため、重要問題習得講座、選択科目問題集、法律実務基礎科目問題集、論文過去問講座を繰り返し解いて、論証の知識を定着させるとともに、論文問題の論点判別・解答の精度を上げます。

 

この時点で、論文問題に関しては合格レベルにまで達することも可能ではないかと思います(但、短答対策集中期間を挟むと論文問題への対応力が落ちる場合あり)。

予備試験は基本的な問題で構成されていると言われていますので、基本問題を精度高く書ければ合格できる可能性が十分あるからです。

 

また、このあたりの時期から1~2週間に1通程度、本番同様に答案を紙に書く(起案する)ことで、自分の弱点を知る(知識の正確さ、時間配分の適切さ等)ことができれば理想的です。

本番を見据えた予行演習にするという意味で、起案する問題は予備試験の過去問が理想ですね。

2月21日頃~5月中旬(短答試験本番):短答対策・強化期間

この頃から短答対策スタートさせるのは、割と現実的なラインではないかと思います。

ちょっと予定が後ろ倒しになった場合も3月上旬〜中旬にスタートさせ、一方、予定を前倒しにできた人はもう少し早くスタートさせても良いかもしれません。

まず、短答講座(Ⅰ:20時間、Ⅱ:125時間、過去問:97時間)は、春休みという時間に余裕ある時期を活用し、3月内には受講し終えます(もちろん予習の際に問題は解きます、短答の場合はア〜オ等の記号を書くだけなので講座受講前の演習でも書いて良し)。

スキマ時間は、短答問題の演習を中心に短答対策を行います(短答講座に全年度の過去問が含まれるようなので、それのみを使用して問題演習。~2021年9月15日までに使用した問題集は使わないで教材を絞る)。

講座視聴完了後は、短答問題をひたすら解き続けます。

短答試験本番までに全科目最低5周はしたいです。

 

また、僕は受験生時代、この時期に短答対策に集中しすぎて論文問題の回答力が落ちることを懸念していましたし、実際そのようになってしまう人もいたようです。

ですので、答え合わせを含めて1日30~1時間ちょっと程度で収まるくらいの演習量、僕であれば1日3~6(選択科目含)科目×各科目1問ずつの合計3~6問の論文問題を、今まで通り頭の中で演習することを並行して行います。

僕は勉強時間が決して長くなかったので、短答対策とのバランスを考えると1日30分ちょっとで収まる量≒1日3~4問とします。

なお、本番前は体調にも配慮しなければいけません。

決して夜更かしはしないようにしましょう。

 

shihounoinu.hatenablog.com

5月中旬(短答試験終了後)~7月中旬(論文試験本番):重要問題習得講座、選択科目問題集、法律実務基礎科目及び論文過去問講座の解き直しがメイン。予備試験答練と法律実務基礎科目答練をペースメーカーに。

重要問題習得講座は、この時期に解くものを含めて累計8~10周、その他の問題集及び論文過去問講座は累計5~6周できればgood!と思います。

ただし、2月20日以前の短答対策集中期間前に上記の周回数をすでにこなしてしまった場合を含め、この時期に各問題につき2周はしたいと考えてしまいます。

なぜなら、やっぱり本番前にしばらく解いていないと忘れてしまうからです。

本番で答案用紙に書けなければ今までの努力も水の泡になってしまいますので、本番直前には記憶のメンテナンスとして、特に重要問題習得講座、選択科目問題集、法律実務基礎科目問題集といった論点網羅的な問題集は欠かさずに解き直したいです。

 

また、論証集のチェックも暇を見てコツコツ行えるとよいですね。

予備試験答練及び法律実務基礎科目答練は、全科目しっかりフルで答案を書き(起案し)ましょう。

本番のシミュレーションとして、本番同様の環境で解くこととします。

 

なお、本番前は体調にも配慮しなければいけません。

決して夜更かしはしないようにしましょう。

論文試験終了後~論文試験合格発表:好きにするがよい

理想は口述に備えて勉強することですが、僕は全くやる気が起きませんでした。

ですので、毎日近所の公園で2時間くらいぼーっとした後、自宅で野球アニメ『メジャー』を見ていました。

まあ、理想を言えば、スキマ時間くらいは法律実務基礎科目(口述試験の科目です)を解き直し主体で勉強してもいいかも。

論文試験合格発表~口述試験(2018年は10月下旬):2週間ちょっとしかありません!!!

死に物狂いで法律実務基礎科目の勉強。

口述模試はもちろん受けよう。

民事は要件事実がメインで、あと民法と民訴法の知識がちょっと。僕は弁護士職務基本規程が出なかった人ですが、受任不可事件や利益相反をはじめとする頻出問題は一応答えられるようになっておきたい。

でも、この期間に0から詰め込むのではなくて、2021年のうちからしっかり積み上げてきているはずなので、多分大丈夫*2

刑事は刑法と刑訴法、刑訴規則の基本的な知識があれば大丈夫。

 

なお、本番前は体調にも配慮しなければいけません。

決して夜更かしはしないようにしましょう。

 

一般教養講座について

多分見ないが、10時間程度とそこまで長くないので余裕があれば電車内等スキマ時間で聞き流す。

 

一般教養は大学受験を一般入試で合格していたので、特に対策する必要性を感じませんでした。

実際、僕は一般教養の短答は39/60点だったので、この考えは変わっていません。

僕は短答・論文共に一般教養は無対策でしたが、特別な事情がない限り一般教養は対策しないでいいんじゃないかと思います(2022年予備試験では論文試験から一般教養がなくなるそうです)。

あとがき

以上を参考にしてもよいですが、あくまで自分の良かった点と反省点を織り交ぜた経験者としての(お気楽な)振り返り的シミュレーションですので、ご自身に合うようにカスタマイズしましょう。

また、計画を余裕を持ってクリアできるようにタスクは後回しにしないようにするべきですが、仮に思い通りに行かなかったとしても、原則3の通り、自分を精神的に追い込まないようにしたいですね。

 

 

本記事でシミュレーションに用いた講座

予備試験1年合格カリキュラム

現在(2021年8月10日更新時点)、2022年合格目標・2023年合格目標ともに30%割引中

【2022年合格目標】司法試験|予備試験1年合格カリキュラム【PR】

 

*1:ここでは頻出論点を隈なくカバーしていることを「網羅性がある」ということにします。

*2:僕はこの時期に0から詰め込みました。ひどい出来でした、すみません。

企業法務とは?つまらない業務のことです(2021年司法試験受験生の就職活動)

タイトルは完全に個人的な感想です。

さて、司法試験も終わり、法律事務所等への就職活動中の受験(終了)生も多いことだと思います。

ところで、就職活動中の皆さんは、法律事務所を「一般民事」と「企業法務」に大別しているのではないでしょうか?

この記事では、僕個人がイメージするそれぞれの定義と業務内容をお伝えします。

 

shihounoinu.hatenablog.com

 

「企業法務」とは

「企業法務」とは企業の法律問題を扱う仕事です。

そして、企業法務事務所とは、ほとんど企業のみを顧客とし、企業の法的問題を予防・解決する業務を行う法律事務所をいうものだと思っています。

一般民事事務所になく企業法務事務所にある取扱分野としては、知財独禁法、税法、金商法、大規模又は渉外のM&Aなど専門性が高い分野だと思います(もちろん事務所による)。

もっとも、これらの分野に限られるものではなく、労働事件の使用者側(主に企業)専門の事務所や、普通の民事訴訟や契約書チェック等をやっているけど企業のみを顧客とする事務所も企業法務事務所だと思います。

企業法務事務所の良いところは、

・給与水準が高い傾向にあると思う

・何か専門としてやりたいことが決まっている分野がある場合は、最初からその分野に集中できる場合がある

・上記のような知財、独禁、税法、金商法など専門性の高い分野を扱える場合がある

・立地が良い場合が多い

くらいでしょうか。

個人的な話(企業法務つまらない)

僕も現在、企業のみを顧客とする企業法務事務所に所属しています。

企業法務事務所の方がなんか色々良さそう!程度にしか考えずに就職活動をしていたのですが、業務内容は修習生の時に主に扱っていた民事訴訟や刑事弁護の方がはるかに面白かったなあ・・・と思います。

来る日も来る日も、契約書チェック、法的意見書の作成、M&Aに関係する法令や財産の調査・・・など紙に対して一方通行で向き合っているだけで、何かの修行のようです。

 

無味乾燥な毎日を過ごしています。

 

民事訴訟や刑事弁護であれば、相手方当事者又は警察若しくは検察官及び裁判所との「対話(コミュニケーション)」がありますし、各事件にストーリーがありますので、それなりに面白いと思っています。

僕の所属事務所のようなタイプの企業法務事務所は、無味乾燥な作業に耐えられる人又はお金稼ぎができればあとはなんでもよいという人以外は向いていないんじゃないかな〜と思います。

 

また、企業法務事務所は顧客と継続的に付き合いがある(アソシエイトが1回ヘマしたら切られる可能性がある?)からか分かりませんが、若手があまり法律相談を始めとする顧客対応をしない傾向にあるんじゃないかな〜と思います(もちろん事務所により例外もあり)。

アソシエイト弁護士は、パートナー弁護士と顧客が話し合って決まった事項を淡々と処理する感じで、まさに機械のようになっております。

そこもつまらないポイントです。

 

 一般民事とは

「一般民事」事務所は、「企業法務」事務所以外の事務所だと思っています。

離婚、相続、交通事故の被害者側を主とする「一般個人を相手」とする事件も扱う一方、大半の事務所は中小企業の「企業法務」的な業務(例:債権回収訴訟や労働事件、契約書チェックなど)も行うことが多いです。

一般民事事務所でも、契約書チェックなどひとりで書面と睨めっこという業務も一部あると思いますが、訴訟があったり刑事事件もあったり破産関係があったり…と、割と広い分野を扱うことができ、業務のバリエーションがあるのが良いところだと思います(実体験から言いますが、同じことばかりやっていると飽きます)。

また、一般民事事務所の場合は、アソシエイトが法律相談に出て方針の決定を主導したり又は決定に参加したりする傾向が(少なくとも企業法務事務所よりは)あるので、「自分で事件をコントロールしている」感が得られて良いのではないかなと思います*1

デメリットとしては、

・一般個人の顧客(相談段階を含む)に、弁護士の円滑な業務遂行を妨げる者(例:感情的になって話が進まない)がいる割合が企業法務よりは高いと思われる

・高い専門性のある分野を扱いたいと思った場合に、その事務所では仕事が来ない/知識がなく扱えないことがある

などがあります。

 

僕はもう一回就職するとしたら、民事訴訟と刑事弁護を中心的な業務とする一般民事事務所に就職したいなと思いますね(笑)

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

当ブログでは、

⑴ネット予備校の利用 

⑵正しい勉強法で勉強すること

⑶精神的に頑張りすぎないこと

をお勧めしています。 

 

⑴についての記事 

shihounoinu.hatenablog.com

⑵についての記事 

shihounoinu.hatenablog.com

 

 にほんブログ村

 

*1:僕は一年目ながら、一回だけほぼ一人で労働事件をやったことがあります。相談に始まり、主張書面の骨子〜細部まで決めることができて、その事件はとても面白かった記憶があります