予備試験を独学・1年で受験してみた

他のブログと違う視点で「合格まで」を考える/73期弁護士

令和元年司法試験 再現答案 まとめ

 

令和元年司法試験 憲法 再現答案

shihounoinu.hatenablog.com

 

令和元年司法試験 行政法 再現答案 

shihounoinu.hatenablog.com

 

令和元年司法試験 民法 再現答案
shihounoinu.hatenablog.com

 

令和元年司法試験 商法 再現答案 

shihounoinu.hatenablog.com

 

令和元年司法試験 民事訴訟法 再現答案 

shihounoinu.hatenablog.com

 

令和元年司法試験 刑法 再現答案 

shihounoinu.hatenablog.com

 

令和元年司法試験 刑事訴訟法 再現答案

shihounoinu.hatenablog.com

 

令和元年司法試験 労働法 第1問 再現答案 

shihounoinu.hatenablog.com

 

令和元年司法試験 労働法 第2問 再現答案 

shihounoinu.hatenablog.com

 

短答試験の成績はこちら:令和元年司法試験 短答試験成績通知書

論文試験の成績はこちら:後日追完予定

 

にほんブログ村 資格ブログ 司法試験予備試験へ
にほんブログ村

令和元年司法試験 再現答案 民法(B評価)

評価予想や議論のネタにしてもらうのは構いません。

一切の転載・複写をご遠慮願います。 

民法 再現答案】

第1設問1

1.(1)本件事故は、6月7日に起こっており、請負契約の目的物である甲建物の完成後引渡し前に起こっている。本件契約では、所有権の帰属に関する特約がないから、請負契約の目的物の完成後引渡し前の所有権は誰に帰属するか問題となる。

(2)当事者の合理的意思解釈から①目的物の材料の全部または重要な一部を提供した者に帰属し、②①の場合であっても注文者が代金を支払い済みであれば、注文者に所有権が帰属する旨の特約があったものと推認される。

(3)本件では、①請負人Bが甲建物の建築に必要な材料を全て自ら調達しているから、請負人Bに完成後引渡し前の甲建物の所有権が帰属するとも思える。

しかし、②について、Aはすでに請負報酬の80%を支払っている。この点、不可分債務においては債務の大部分を履行したといえれば、信義則上相手方は自己の債務の履行を拒むことはできない。本件でもAはすでに請負報酬の80%を支払い済みであるところ、これは債務の大部分を履行したといえる。よって、請負人Bは所有権の移転を拒むことはできず、本件では注文者Aに所有権が帰属する旨の特約があったものと推認される。また、推認を覆すような事情もない。

(4)以上より、本件事故が発生した当時において甲建物の所有者はAである。

2.(1)では、所有者Aに対して工作物責任民法717条1項、以下法名略)を問えるか。

(2)「土地の工作物」とは、土地に定着する建物およびこれと有機的一体となって機能する有体物をいうところ、甲建物はこれにあたる。

(3)「設置又は保存に瑕疵がある」とは、土地の工作物が通常有すべき安全性を有していないことをいう。本件では、甲建物に用いられていた建築資材に建物の一部損傷を招くような欠陥があり、通常有すべき安全性を有しておらず「瑕疵」がある。

(4)また、本件事故によってCが負傷しており、治療費の支出を余儀なくされているから「損害」がある。

(5)また、本件事故は甲建物に用いられていた建築資材の欠陥が原因で甲建物の一部が損傷し落下したことにより発生しているから、瑕疵と損害の因果関係もある。

(6)では、「占有者が損害の発生を防止するのに必要な注意をした」(717条1項但書)といえるか。

たしかに、請負人Bは専門家として、甲建物に用いられていた建築資材の安全性について調査すべきであり、過失があったとも思える。しかし、右資材は定評があり、多くの新築建物に用いられていたこと、右資材の製造業者において検査漏れがあり、そのため必要な強度を有しない欠陥品が出荷され、甲建物にはたまたまそのようなものが用いられていたのであるが、請負人はそのような事情を知る由もないこと、などの事情に鑑みれば、Bには過失はなく「占有者が損害の発生を防止するのに必要な注意をした」といえる。

(7)よって、本件では、CはAに対し、所有者としての無過失責任として工作物責任を追及できる。

第2設問2

1.Hの主張

(1)乙建物の所有権を取得し、登記を備えることによって、譲受人は賃貸人の地位をも譲り受けるとの主張をする。

(2)賃貸借契約の賃貸人の地位の譲渡は、債権譲渡と債務引き受けの両面を有するから、譲渡人・譲受人・賃借人の三者間の合意によるのが原則である。もっとも、当事者の合理的意思解釈および法律関係の錯そう化回避のため、賃貸人の地位は賃貸借契約の目的物の所有権の移転に伴い、当然に移転するものと解する。また、賃貸人の債務は没個性的であり所有者であれば誰でもできるものである。よって、Hは本件賃貸借契約の目的物である乙建物の所有権移転に伴って、賃貸人の地位を取得する。

(3)もっとも、賃貸人に賃料を請求するためには、賃借人の二重弁済回避のため、支払いのあて先を明確化するために、賃貸人は目的物の所有権登記を要する。よって、Hは乙建物の所有権登記を備えることにより、これ以後の本件賃貸借契約にかかる賃料債権を得ることができる。

2.Fの主張

(1)本件譲渡契約は将来債権の譲渡として有効であり、賃借人Eに対して右譲渡について確定日付ある通知をしていることで第三者対抗要件(467条1項2項)を備えているから、本件賃貸借契約にかかる平成28年9月から平成40年8月までの賃料債権はFに確定的に帰属すると主張する。

(2)まず、将来債権の譲渡は有効か。

ア.将来債権の譲渡は、たしかに発生可能性が低い場合もあるものの、当事者の合理的意思としては将来債権が発生しなかった場合は、契約責任を追及することにより清算することとしており、発生可能性が低いことをもって無効とすべきではない。

イ.もっとも、将来債権の譲渡が有効となるには、期間・発生原因・第三債務者等によりその内容が特定されている必要がある。本件譲渡契約では、平成28年9月から平成40年8月までと期間の限定があり、発生原因はDE間の本件賃貸借契約、第三債務者は本件賃貸借契約の賃借人Eと第三債務者の特定がされている。よって、本件譲渡契約はその内容が特定されている。

ウ.もっとも、将来債権の譲渡が、譲渡人に著しい不利益を及ぼす場合や、他の債権者に不当な不利益を及ぼす場合は公序良俗(90条)違反として無効となる。本件では、本件譲渡契約は上記のように限定されており、かかる事情はない。

エ.よって、本件譲渡契約は将来債権の譲渡として有効である。

(3)また、Fは平成28年8月3日に本件譲渡契約の譲渡につき内容証明郵便で、第三債務者Eに通知をしており第三者対抗要件を備えている(467条1項2項)ところ、Hの登記は右通知に遅れるものであるから、本件賃貸借契約にかかる賃料債権のうち平成28年9月から平成40年8月までの分はFが確定的に取得する。

3.私見

(1)上記のように、本件賃貸借契約にかかる賃料債権はDH間、DF間で二重譲渡されている。

では、債権が二重譲渡された場合、その優劣はどのように決するか。

(2)この点、民法467条1項は「債務者その他の第三者に対抗することができない」としているところ、同条は債務者の認識を通じて公示を図るものとしている。とすれば、債権の二重譲渡がされた場合は、債務者への通知の到達の先後によって決する。

(3)ア.本件では、DF間の譲渡は、平成28年8月4日に確定日付ある通知によりEに到達している。

イ.DH間の譲渡についての平成30年2月21日の通知に確定日付がない場合は、第三者対抗要件がなく、Fが優先する。

ウ.DH間の譲渡についての平成30年2月21日の通知に確定日付がある場合は、第三者対抗要件を備えているところ、DF間の譲渡通知は平成28年8月4日に債務者Eに到達しているから、DF間の譲渡についての通知が先にEに到達しており、やはりFが優先する。

(4)以上から、Fが平成28年9月から平成40年8月までの本件賃貸借契約にかかる賃料債権を確定的に取得するから、Fが優先し、下線部㋑が正当である。

第3設問3

1.Hは、本件債務引き受け契約は錯誤(95条)により無効であると主張する。

2.(1)本件では、Hが本件賃貸借契約に係る賃料を受け取れることを動機として締結されたものであるところ、動機に錯誤がある。では、動機の錯誤も錯誤にあたるか。

(2)「錯誤」は内心と表示の不一致をいうところ、本件ではかかる不一致はなく錯誤にあたらないのが原則である。もっとも、錯誤は動機の錯誤がほとんどであるから、動機の錯誤を否定すると表意者保護にもとる。そこで、表意者保護と取引安全の調和の見地から、動機が明示または黙示に相手方に表示され、契約の内容となっている場合には動機の錯誤も「錯誤」にあたるものと解する。

(3)ここで、Gからは本件債務引き受け契約は第三者のためにする契約(537条)としてなされたものであり、乙建物の賃料債権というDH間の対価関係は契約の内容となっていないと反論する。

(4)しかし、事実10.の合意(以下、「本件合意」)の④は、Gが「乙建物を売りに出せば、買主は長期の安定した賃料収入を見込めることもあり相当な価格で売れるのではないか」と述べていることが発端となってなされたものだから、乙建物の賃料債権が本件合意④の内容となっていることはあきらかであり、動機が契約の内容となっているといえる。よって、「錯誤」がある。

(5)また、乙建物の賃料債権が得られなければ、Hはもちろん、一般人も本件債務引き受け契約を締結しなかったであろうから「要素」の錯誤がある。

3.よって、Hは本件債務引き受け契約の錯誤無効を主張できる。     以上

 

【雑感】

・大事故科目No.3 コイツがボス→なんか噂では簡単らしかった(僕的には去年のほうがずっと簡単でしたが)ので、Fも覚悟

・設問1 これが一番マシ?弁済の判例をなぜかここで持ってくる。

・設問2 大学時代の同級生らから聞いた話によれば、「将来債権譲渡の移転時期」という論点らしいです。…知りません!聞いたこともありません!

試験中、移転時期は気にはなりましたが、「本契約型の話だっけ?いや、あれは債権譲渡担保やったな」と切り捨てました。まあ書いたとしても事故になってたでしょうから、仕方ありません諦めます。

・設問3 設問2が死亡のため、現場でも何書いていいかわからなかったがとりあえず「動機の錯誤」を書く。ただ、第三者のためにする契約と対価関係の話なんか絶対いらなかっただろ、余事記載でしかも理解不足と思われかねない。仮に「動機の錯誤」で当たってたとしても、時間不足のため条文を引くことをせず、重過失の検討を見事に忘れる。

 

【使用教材】

『逐条テキスト』

→疑問点があれば辞書として活用。

『新・論文の森』

→解説と参考答案の質が高いため、上下巻ともに使用。スタンダード100でしっくりこなかった典型論点を解決してくれた。

『スタンダード100』

→わがメインテキスト。

にほんブログ村 資格ブログ 司法試験予備試験へ
にほんブログ村

 

令和元年司法試験 再現答案 民事訴訟法(A評価)

評価予想や議論のネタにしてもらうのは構いません。

一切の転載・複写をご遠慮願います。

民事訴訟法 再現答案】

第1 設問1

1.課題⑴

Yは、民事訴訟法(以下法名略)11条により、わざわざ管轄を定める内容の契約をしているのだから、他の裁判所は管轄から排除されるのであり、管轄はB地方裁判所に限定されると反論する。すなわち、管轄を定める旨の契約は、処分権主義の範囲内であるところ、当事者がこれにつき合意した場合、相手方当事者に著しい不利益がない限り、かかる契約は拘束力を有する。よって、本件訴訟の管轄は、B地方裁判所に限定される。

しかし、11条の管轄合意は4条、5条で定められたものに管轄を追加するものにすぎない。また、11条の管轄合意の拘束力はそれほど強いものでもない(16条2項かっこ書き、20条かっこ書き参照)。すると、本件定めの内容はB地方裁判所に管轄を限定する趣旨ではなく、4条の管轄のほかB地方裁判所においても管轄を認める旨の合意にすぎない。よって、本件定めはA地方裁判所を本件契約に関する紛争の管轄裁判所から排除することを内容とするものではない。

2.課題⑵

本件定めが「B地方裁判所のみを第一審の管轄裁判所とする」という内容であったとしても、本件訴訟は17条によってA地方裁判所に移送されるべきである。

本件では、Xの居住地、訴訟代理人Lの事務所はA市の中心部にあるところ、ここからB地方裁判所までは600㎞の距離があり、移動の負担が大きい。また、たしかにY社の本店はB市中心部にあるものの、Y社は全国各地に支店を展開しておりA市にも支店がある。さらに、本件契約はA支店でなされているから、A支店に契約書等の証拠があり、また、A支店の従業員を証人尋問することも想定されるところ、これらのものの移動にも負担がかかる。とすれば、「当事者…の住所…その他の事情を考慮して」「訴訟の著しい遅滞を避け、又は当事者間の衡平を図るため必要がある」から、「申立て又は職権により」本件訴訟はA地方裁判所に移送されるべきである(17条)。

第2 設問2

1.(1)Yが事実④を認める旨の主張は、裁判上の自白にあたり不可撤回効によって自由に撤回できないのではないか。

(2)裁判上の自白とは、期日においてする相手方の主張と一致する自己に不利益な事実を認める旨の陳述をいう。なお、基準の明確性から、「自己に不利益」とは相手方が証明責任を負うものをいう。

(3)そして、当事者が争わない事実は判決の基礎としなければならないという弁論主義の第2テーゼから、裁判上の自白に当たる場合には裁判所拘束力が生じる。このように裁判所拘束力は弁論主義を根拠としているから、裁判所拘束力の生じる範囲と弁論主義の適用範囲は一致する。そして、証拠と同様の機能を営む間接事実や補助事実にまで弁論主義の適用を認めると、裁判所の自由心証主義(247条)を害するから、弁論主義の適用範囲は主要事実に限られる。

(4)また、当事者拘束力すなわち不可撤回効は、裁判所拘束力により裁判所が異なる事実を認定することはないと相手方当事者が信頼することから、相手方の既得地位保護のため禁反言の原則により信義則上(2条)生じるものである。すると、不可撤回効の生じる範囲は裁判所拘束力の範囲と一致し、主要事実に限定される。

2.(1)では、事実④は主要事実に当たり、不可撤回効によって自由に撤回できないのではないか。

(2)元の請求は履行遅滞による本件契約の解除にもとづく原状回復請求であるところ、元の請求原因事実は、①本件契約の締結②「債務の本旨」に従った履行がないこと(民法415条)③催告④催告後相当期間の経過⑤解除の意思表示である。

すると、「本件事故が起きたこと」という事実④は主要事実に当たらない。よって、事実④は元の請求との関係では裁判上の自白にあたらない。

(3)他方、追加された請求は本件損壊事実についての債務不履行にもとづく損害賠償請求である。右請求の請求原因事実は、①本件契約の締結②「債務の本旨」に従った履行がないこと(民法415条)③損害④因果関係⑤故意・過失である。

本件では、ベッドが本件仕様を有していないことで、本件事故が起きたことにより腕時計が損壊しているところ、事実④は債務不履行と損害の因果関係を示す具体的事実である。とすれば、事実④は追加された請求との関係では、主要事実であり裁判上の自白にあたる。

(4)すると、元の請求についての訴訟資料は、特に援用がなくても追加された請求についての訴訟資料になるとの理解を前提にすると、事実④は追加された請求との関係では裁判上の自白にあたり、不可撤回効により自由に撤回できないとも思える。しかし、不可撤回効の根拠は、上記のように相手方の既得地位を害しないようにすることにあるところ、事実④は元の請求との関係では主要事実にあたらず裁判上の自白にあたらないから、相手方に既得地位に対する期待は生じない。よって、上記不可撤回効の根拠が妥当せず、撤回を認めても信義則に反しないから、Yは事実④を認める陳述を撤回できる。

第3 設問3

1.Zは本件日記の文書提出義務(220条)を負うか。

2.まず、同条4号は文書の一般的な提出義務を定めたものであるから、はじめに1号ないし3号を検討する必要がある。本件では1号ないし3号に該当する事由はない。

3.では、本件日記は220条4号ニの除外事由として文書提出義務を負わないのではないか。

「専ら文書の所持者の利用に供するための文書」とは、①内部利用目的で作成され、外部への開示が予定されておらず②開示によって文書の所持者に著しい不利益が及ぶものをいう。

本件では、①本件日記がどのような目的で作成されたのか、外部開示目的があったか②本件日記を開示することによって、TやZのプライバシーに著しい不利益があるか、といった観点を考慮して文書提出義務の有無を判断すべきである。         以上

  

【雑感】

・大事故科目No.2

 ・設問2以外全く分からなかった。

・試験現場での脳内

「設問1管轄!?普通裁判籍以外、丸々1年も見てないわ。とっくに忘れた。」

「設問1は、去年の試験の設問1で管轄大展開したヤツのせいだな、クソ~(#^ω^)」

「設問3なんじゃこりゃ。まあ、スタンダード100に載ってた旧試験の参考答案そのまま貼りつけとこ」

 

【使用教材】

『逐条テキスト』

→疑問点があれば辞書として活用。

『新・論文の森』

→解説と参考答案の質が高いため使用。体系的理解につながるため、新論文の森の中でも刑法&刑訴法と並んでの良書だと思う。

『スタンダード100』

→わがメインテキスト。

 

にほんブログ村 資格ブログ 司法試験予備試験へ
にほんブログ村

令和元年司法試験 再現答案 商法(A評価)

評価予想や議論のネタにしてもらうのは構いません。

一切の転載・複写をご遠慮願います。

商法 再現答案

第1 設問1

1.総会招集請求(会社法297条、以下法名略)

乙社は株主総会の招集請求をすることができる。まず、乙社は平成29年5月の時点で甲社の総株主の議決権の4%を有しているところ、平成29年5月は平成30年1月より6か月前であるから、乙社は甲社の「総株主の議決権の百分の三」以上を「六箇月」以上前から「引き続き有する株主」である(297条1項)。また、剰余金の配当決議は株主総会においてすることとされており(453条、454条)「株主総会の目的事項」である。また、乙社は剰余金の増額配当決議をするという「招集の理由」を示す必要がある。

さらに、乙社は297条4項各号に当たる場合には「裁判所の許可を得て、株主総会を招集することができる」(同条4項柱書)。この場合、乙社は298条1項各号の事項について定めなければならない(298条1項柱書かっこ書き)。そして、乙社は299条1項により総会の「2週間…前まで:に通知を発しなければならない。また、甲社は公開会社だから327条1項1号により取締役会設置会社であるから、右通知は「書面でしなければならない」(299条2項2号)。そして、乙社は株主総会参考書類および議決権行使書面を交付しなければならない(301条1項、302条1項)。

2.株主提案権(303条)

上記のように甲社は「取締役会設置会社」である(327条1項1号)ところ、乙社は平成29年5月から甲社の総株主の議決権の4%を有しており「総株主の議決権の百分の一…以上の議決権」を「六箇月…以上前から引き続き有する株主」にあたる(303条2項)。また、剰余金の配当は株主総会の決議事項だから(453条、454条)、「一定の事項」(303条2項、同条1項かっこ書き)として「取締役に対し」「株主総会の目的」とすることを「請求」できる。また、平成30年1月時点においては、甲社の株主総会が開催される八週間以上前であるから「八週間…前まで」の要件をみたす(302条2項)。

また、甲社は「取締役会設置会社」であるところ、乙社は「総株主の議決権の百分の一以上」を「六箇月…以上前から引き続き有する株主」(305条1項但書)である。よって、乙社は「取締役に対し」乙社が提案しようとする議案の要領を「株主に通知すること…を請求することができる」(305条1項)。

3.以上より、株主総会請求の場合は株主側にイニシアチブがあり、濫用による混乱のおそれが大きいから要件が厳格であるのに対し、株主提案権の場合は会社にイニシアチブがあるから濫用による混乱のおそれがそれほど大きくなく要件が比較的緩やかである。

第2 設問2

1.本件新株予約権の無償割当ての差止め請求は適法か。

まず新株予約権の無償割当ての差止めの根拠は何か。新株予約権の無償割当ての差止めの根拠条文がないことから問題となる。

新株予約権の無償割当ての差止めを認める明文がないのは、通常新株予約権の無償割当てによっては株主の利益が害されることがないからである。とすれば、株主の利益が実質的に侵害されるおそれのある場合には、会社法247条を類推適用してよい。

よって、247条の類推適用によって新株予約権の無償割当ての差止め請求をなしうる。

2.247条1号該当性

(1)では、「法令」に「違反」したといえるか。

(2)乙社は以下の反論をする。株主平等原則とは会社が株式の数および内容に応じて株主を平等に取り扱わなければならないことをいうところ、株主新株予約権の無償割当ても株主としての地位に基づいてなされるものであるから、株主平等原則(109条1項)の適用がある。とすれば、本件新株予約権無償割当ての概要(以下、「本件概要」)8号、10号は乙社を不利益に取り扱うものであり、株主平等原則違反がある。

(3)しかし、株主平等原則の趣旨は、株式の数および内容に応じて株主を平等に取り扱うことにより、株主の利益を保護することにある。また、会社の存続・発展なくしてかかる株主の利益を保護することはできない。とすれば、企業価値が毀損され、株主共同の利益を害するような場合までかかる原則を貫くことは妥当でない。

よって、かかる不平等な取り扱いも、企業価値が毀損され、株主共同の利益が害される場合であって、これを防ぐために必要かつ相当な手段であるならば、株主平等原則に反しない。また、企業価値が毀損され、株主共同の利益が害されるか否かの判断は、会社の実質的所有者たる株主が行う。

(4)本件では、乙社は敵対的な買収により対象会社の支配権を取得し、経営陣を入れ替え、対象会社の財産を切り売りする投資手法をとっていること、乙社が甲社の事業に対して理解がないことなどから、乙社が甲社の支配権を取得すれば、甲社の財産を切り売りする可能性があり、また、経営陣を入れ替える可能性が高い。このような事情からすれば、甲社の企業価値が毀損され、株主共同の利益が害されるおそれがあるといえる。また、乙社の持株比率がこれ以上増加することを防ぐため、乙社が新株予約権の行使ができないとする本件概要8号は必要である。また、本件概要10号は、乙社がこれ以上の甲社の株式に買い増しを行わない旨を確約した場合には、甲社の取締役会は、本件新株予約権無償割当てにより株主に割り当てた新株予約権の全部を無償で取得できることとしており、乙社の不利益を緩和する措置が採られているから手段として相当である。

また、本件総会において乙社以外のほとんどの株主が賛成をしている。さらに、株主の判断の公正を害するような特段の事情もない。

(5)以上から、本件新株予約権無償割当ては株主平等原則に反せず、「法令」に「違反」しないため、247条1号に該当しない。

3.247条2号該当性

(1)では、「著しく不公正」といえるか。

(2)乙社は、本件新株予約権無償割当ては甲社の取締役が支配権維持目的で行ったものであるから、「著しく不公正」であると反論する。

しかし、新株予約権の無償割当ては募集株式の発行とは異なり、多様な目的でなされる。

とすれば、目的達成のため必要であり、かつ、手段として相当であれば「著しく不公正」とはいえないものと解する。

(3)本件では、本件新株予約権の無償割当ての目的は、乙社の持株比率が増加することによって甲社の企業価値が毀損されることを防ぎ、株主の共同利益を保護することにあるところ、本件概要8号・10号によって乙の持株比率を下げるために新株予約権の無償割当てをすることは目的達成のため必要である。また、上記のように本件概要10号は、乙社がこれ以上の甲社の株式に買い増しを行わない旨を確約した場合には、甲社の取締役会は、本件新株予約権無償割当てにより株主に割り当てた新株予約権の全部を無償で取得できることとしており、乙社の不利益を緩和する措置が採られているから手段として相当である。

(4)よって、本件新株予約権無償割当ては「著しく不公正」とはいえない。

第3 設問3

1.本件決議1は、出席した株主の過半数によっても財産処分をすることができる旨の定款変更をしているところ、かかる内容の定款は有効か。「決議の内容」が「法令」に違反するとして無効なのではないか問題となる(830条2項)

295条2項は定款において定めうる事項につき何ら限定していない。とすれば、定款内容の変更については、会社の本質や強行法規に反する場合を除き、適法であると解する。

本件では、議題1において株主総会の決議によって会社の財産を処分できることとしている。ここで会社財産の処分については、重要な財産の処分については362条4項1号により、それ以外の財産については同条2項1号によって取締役会の権限とされているところ、議題1の定款変更は財産の種類について何ら区別せずに株主総会の権限としており、かかる定款変更は会社の本質に反する。よって、本件決議1は「法令の内容」に違反があり、無効である。

2.では、Aは423条1項の責任を負うか。

(1)Aは甲社の代表取締役社長であり「役員等」にあたる。

(2)ア.では「任務を怠った」といえるか。この点、取締役は善管注意義務違反(330条、民法644条)を負うところ、上記のように本件決議1は無効であるからこれに基づいてされた本件決議2も無効であり従う必要がないから、P倉庫を売却したことは経営判断にあたる。

イ.取締役の経営判断の萎縮を避けるため、経営判断の誤りが善管注意義務違反となるのは①判断の基礎となる事実の認識に不注意な誤りがなかったか②認識した事実を前提として、通常の企業人を基準として判断が著しく不合理か、により決する。

ウ.本件では、Aは事実を正しく認識しており、不注意な誤りはない(①)。もっとも、P倉庫を売れば甲社に50億円を下らない損害が発生することが見込まれているところ、これを売るのは著しく不合理な判断である(②)。

エ.よってAには善管注意義務違反があり、「任務を怠った」といえる。

(3)また、甲社に多大な損害が発生しており「損害」があり、右損害はAの上記善管注意義務違反により発生しているから任務懈怠と損害の間に因果関係がある。また、少なくともAには過失がある。

3.以上より、Aは423条1項の責任を負う。

以上

 

【雑感】

・設問1 まとめのところはもう少しうまい表現あっただろうに。

・設問2 結論書くの忘れた、これはイカン。

・設問3 判例は知ってたけど、深読みしすぎたかな。

 並列なので「定款有効」→じゃあ、総会の内容に対する忠実義務(355条)があるから違反はないね→いやいや、355条の趣旨は会社利益の保護→今回の場合は総会決議に従わないことが会社の利益になる=任務懈怠「任務を怠った」の要件充足、という筋のほうが明らかに良かったな。後悔です。

今問題文の役員らの会話文を読んだら明らかにこっちのほうがいいですね、やっちまった。

(これを評価予想の際に考慮しないでほしいのですが)一応、再現答案の真意を説明しますと、「取締役会設置会社…迅速性が要求→重要なもの以外まで総会で決議しちゃいかんじゃろ」ということらしいです。ええ、「5月16日の現場での僕」がそう言ってたみたいです。

 

【使用教材】

『新・論文の森』

→解説と参考答案の質が高いため使用。改正法には注意が必要。

『スタンダード100』

→わがメインテキスト。

 

 

にほんブログ村 資格ブログ 司法試験予備試験へ
にほんブログ村

 

令和元年司法試験 再現答案 刑事訴訟法(A評価)

評価予想や議論のネタにしてもらうのは構いません。

一切の転載・複写をご遠慮願います。

刑事訴訟法 再現答案】
第1 設問1
1.小問1
(1)下線部①の逮捕、勾留及びこれに引き続く平成31年3月20日までの身体拘束(以下、「本件拘束」)は適法か。別件逮捕勾留として違法となるのではないか、問題となる。
(2)逮捕、勾留の要件は身体拘束の基礎となった被疑事実を基準として判断すべきである。また、令状裁判官が捜査機関の主観的意図を見抜くことは困難である。よって、逮捕勾留の要件をみたすかは専ら別件について判断すべきである。
(3)甲を業務上横領罪で逮捕したことについて、甲が以前勤務していたX社の社長から、甲が「顧客Aから集金した3万円を着服した」旨の供述を得ていること、本件業務上横領事件につき同社長から被害届を受けていること、Aから集金した3万円がX社に送金されたことを裏付ける帳簿類等が見当たらなかったことなどから、甲が業務上横領罪を犯したことにつき嫌疑があり、「罪を犯したと疑うに足りる相当な理由」(199条1項)がある。また、甲は単身であること、X社を退社した後は無職であり身軽であること、業務上横領罪は長期懲役10年の重大犯罪である(刑法253条)ことから、逃亡するおそれがあり、「逮捕の必要」(199条2項但書)がある。よって、逮捕は適法である。
(4)では、勾留の要件をみたすか。甲は上記のように、業務上横領罪を犯したことにつき嫌疑が認められ、「罪を犯したと疑うに足りる相当な理由」(207条1項、60条1項)がある。また、上記のように、甲は単身であり、無職であるから身軽であり、「逃亡すると疑うに足りる相当な理由がある」(207条1項、60条1項3号)。また、上記のように逮捕は適法であるから、適法逮捕の前置がある(207条1項「前三条の…」)。以上より、勾留の要件ををみたし、勾留は適法である。
(5)では、勾留延長の要件(208条2項)をみたすか。本件では、甲が「事件当日は、終日、H店かI店にいたような気もする」と供述していることから、捜査機関は甲がH店およびI店に来ていないことを確認する必要がある。しかし、I店では、防犯カメラが同月14日まで修理中であったため、勾留の期間である3月10日の時点ではこれを確認できず、修理後にその映像を確認する必要がある。よって、「やむを得ない事由がある」といえ、勾留延長の要件をみたす。
(6)以上より、本件拘束は適法である。
2.小問2
(1)1.の通り、身体拘束の適法性は専ら別件を基準として判断すべきであるから、以下の説は採用できない。
(2)令状主義の潜脱を防ぐため、別件逮捕勾留は違法であるものと解する。もっとも、令状裁判官が捜査機関の主観的意図を見抜くことは難しく、この点で、1.の別件基準説にも理由がある。
そこで、別件の身体拘束としての実体を喪失し、かかる身体拘束が本件取調べ目的に利用されるに至った場合は、その時点以降の身体拘束は違法となる(実体喪失説)。
(3)上記の通り、甲の逮捕は、逮捕の理由、逮捕の必要性があり、適法になされている。よって、甲の逮捕は適法である。
(4)また、上記の通り、3月1日時点で勾留の理由、勾留の必要性がある。また、適法逮捕も前置されている。よって、勾留は適法に開始されている。
(5)本件勾留において、3月7日までは、たしか強盗致死事件についても取調べがなされているものの、やはりメインは業務上横領についての取調べがなされており、いまだ業務上横領としての身体拘束の実体を喪失したとはいえない。よって、3月7日までの身体拘束は適法である。
(6)もっとも、3月8日以降は、専ら強盗致死についての取調べが行われているから、もはや本件業務上横領事件の身体拘束のとしての実体を喪失している。たしかに、甲の取り調べ以外の捜査においては、本件業務上横領事件についての捜査がメインでなされているものの上記のように身体拘束の適法性は本件取調べ目的となったか否かで判断することから、右の事情は結論を左右しない。
(7)また、上記のように3月8日以降の身体拘束は違法となるから、「やむを得ない事由」はなく、勾留延長の要件はみたさない。よって、勾留延長は違法である。
(8)以上より、本件拘束は、3月7日までの逮捕勾留及びこれに引き続く身体拘束は適法である。他方、3月8日以降の身体拘束は、本件業務上横領事件の身体拘束としての実体を喪失し、違法である。
第2 設問2
1.下線部②の訴因変更について、裁判所は許可すべきか。「公訴事実の同一性」(312条1項)が認められるか問題となる。
当事者主義的訴訟構造(256条6項、298条1項、312条1項)のもと、審判対象は検察官の設定する具体的事実たる訴因である。とすれば、かかる具体的事実に変動が生じた場合、訴因変更は許されるのが原則である。もっとも、無限定に変更を許せば被告の防御に不利益を与えるおそれがある。とすれば、「公訴事実の同一性」とは訴因変更の限界を画する概念である。
そして、「公訴事実の同一性」があるかは、基本的事実関係が社会通念上同一という基準、補充的に非両立性の基準を用いて判断する。
本件では、公訴事実1と同2は、平成30年11月20日という同一日時であり、A方という同一の場所で行われ、また、Aから売掛金の集金として受け取った3万円という同一の客体であるから、基本的事実関係が同一である。公訴事実1と同2は、甲に集金権限があったか否かという法的構成に違いがあるにすぎない。
とすれば、「公訴事実の同一性」があるから、訴因変更が認められるとも思える。
2.もっとも、本件では公判前整理手続を経ているところ、かかる訴因変更は時的限界を超えるものとして信義則(刑事訴訟規則1条2項)により却下されるのではないか。
この点、公判前整理手続終了後に訴因変更を禁じる旨の明文はない。しかし、公判前整理手続は、公判を充実させるため、争点と証拠の整理をするものである。また、検察官は公判前整理手続において訴因変更義務(316条の21、1項)を負う。さらに、あまりに時期に遅れた訴因変更を許せば、被告人の防御を害する。
とすれば、検察官が右訴因変更義務に違反したものと認められ、かつ、公判前整理手続を行った意味を失わせる場合には、かかる訴因変更は信義則(刑事訴訟規則1条2項)違反として却下される。
本件では、証人であるX社社長が公判期日になって「甲には集金権限がなかった」旨主張しているところ、これは同社長が公判前整理手続後になってはじめて思い出したことによるものであり、故意ではない。とすれば、検察官が公判前整理手続の際にかかる訴因変更をするのは不可能であったといえる。
また、甲は集金権限がないことはわかっていた旨供述しており、被告人の防御を害しない。
よって、検察官が右義務に違反したとはいえず、また、公判前整理手続を行った意味を失わせるともいえない。
3.よって裁判所は、下線部②の訴因変更を「許さなければならない」(312条1項)。          以上
 

【雑感】

・設問1

・勾留延長の事実でYの出張を完全に書き忘れた。

・聞くところによれば、実体喪失説は令状主義なんて関係ないそうです。ありがとうございました。

・設問2、「本件では集金権限が争点となっていなかったこと」に触れられていません。ありがとうございました。

・刑事系、死亡(民事はもっとすごいよ)。

 

【使用教材】

『逐条テキスト』

→疑問点があれば辞書として活用。

判例百選』

→刑訴法も判例を知らないと他の人に差を付けられるため。

今年の設問2の訴因変更の問題なんかはその典型だった。

『新・論文の森』

→解説と参考答案の質が高いため使用。あまりに質が良いため刑訴法はこれをメインテキストとしていた(ただ改正法には注意)。

『スタンダード100』

→論点ストックのため使用。

 

にほんブログ村 資格ブログ 司法試験予備試験へ
にほんブログ村

 

令和元年司法試験 再現答案 刑法(A評価)

評価予想や議論のネタにしてもらうのは構いません。

一切の転載・複写をご遠慮願います。

【刑法 再現答案】
 
第1 設問1
1.甲が、本件キャッシュカード等が入った封筒とダミー封筒をすり替え、本件キャッシュカード等が入った封筒を自らのショルダーバッグ内に隠し入れた行為につき、Aのキャッシュカードを客体とする窃盗罪(刑法235条、以下法名略)が成立するか。
2.(1)まず、Aのキャッシュカードは所有権の対象となるだけでなく、これにより預金の払い戻しを受けられる等の財産的価値を有するから、Aのキャッシュカードは「財物」である。
(2)また、「窃取」とは、権利者の意思に反して、財物を自己または第三者支配下に移転させることをいう。
本件では、甲が、本件キャッシュカード等が入った封筒とダミー封筒をすり替え、本件キャッシュカード等が入った封筒を自らのショルダーバッグ内に隠し入れたことにより、Aの意思に反して、Aのキャッシュカードの占有を自己の支配下に移転させており、「窃取」があるといえる。
(3)ここで、甲がAに対して「この封筒に封印をするために印鑑を持ってきてください」と申し向けたことを「欺」く行為、客体を本件キャッシュカードと暗証番号を併せ持つことにより預金の払い戻しを受けられる地位という「財産上…の利益」とする詐欺罪が成立する可能性があるとも思える。
しかし、詐欺罪は交付罪であるから、欺もう行為は処分行為に対して向けられたものである必要があるところ、本件では、甲は「…印鑑を持ってきてください」と申し向けたのみであり、これは処分行為に対して向けられたものではなく、占有を緩めるためのものにすぎない。
(4)よって、上記のようにAのキャッシュカードをショルダーバッグに入れたことにより「窃取」があったといえる。
3.また、窃盗罪は、不可罰的使用窃盗や毀棄罪との区別から、①権利者排除意思と②利用処分意思が必要なところ、本件では問題なくこれらをみたす。
4.以上より、甲の右行為に窃取罪が成立する。
第2 設問2
1.①の立場
(1)乙には事後強盗罪の共同正犯(60条、238条)が成立する。
(2)238条の文言から、窃盗犯であることは身分犯である。また、不真正身分犯であるとすると、事後強盗罪が暴行罪の加重類型であることになり不合理である。よって、事後強盗罪は真正身分犯であるものと解する。
本件では、甲に窃盗未遂罪が成立するから、甲は「窃盗」である。
(3)また、65条はその文言から1項が真正身分犯、2項が不真正身分犯の成立と科刑を規定しているものと解する。そして、非身分者も身分ある者と共同することで法益侵害が可能であるから、「共犯」には共同正犯を含む。
共同正犯の成立要件は60条の根拠である相互利用補充関係から、①共謀②正犯意思③共謀にもとづく実行行為である。本件では、甲が「こいつを何とかしてくれ」と言ったことで、甲と乙の間に現場共謀が成立している(①)。また、乙は重要な役割を担っており、正犯意思がある(②)。さらに、乙がCに向かってナイフを示して脅迫したことは、甲乙間の右現場共謀に基づくものである(③)。
(4)また、乙は、甲がCの逮捕されないように右脅迫をしており「逮捕を免れる」目的がある。 
(5)また、事後強盗罪は「強盗として論ずる」とされているから、236条1項との均衡から、「暴行又は脅迫」は相手方の反抗を抑圧するに足りる程度のものであることを要する
本件では、乙がCに対して刃渡り10センチメートルのナイフを示しながら「離せ。ぶっ殺すぞ。」と申し向けているところ、かかる行為により生命身体への危害をおそれるのが通常であるから、乙の右脅迫は反抗を抑圧するに足りる程度のものであり、「脅迫」がある。
(6)もっとも、甲は実際には窃盗未遂罪であるところ、乙は甲がコンビニエンスストアの商品をショルダーバッグ内に盗み入れており、窃盗の既遂であると認識している。かかる事実と認識のずれによって、故意(38条1項)が阻却されないか。
故意責任の本質は、規範に直面し、反対動機を形成できたのにあえて犯罪行為に及んだことに対する道義的非難にある。そして、規範は構成要件の形で与えられているから、構成要件が重なり合う限度で故意責任を問うことができる。
本件では、乙は甲が窃盗既遂であると認識しているところ、現実には甲は窃盗未遂を犯している。よって、乙には窃盗未遂の限度で故意が認められる。しかし、238条の「窃盗」は窃盗未遂罪でもよいとされているから、乙に甲が「窃盗」であることにつき認識があることはかわりなく、かかる認識のずれによっては事後強盗罪の否定されない。
(7)以上から、乙には事後強盗罪の共同正犯が成立する。
2.②の立場
(1)乙には脅迫罪の共同正犯(60条、222条)が成立する。
(2)まず、事後強盗罪は窃盗罪と脅迫罪の結合犯である。
(3)本件では、乙は上記のようにCに対して脅迫をしており、脅迫罪の共同正犯が成立する。
(4)もっとも、甲は乙との共謀が成立する前に、窃盗未遂を犯しているところ、乙がこれについても帰責されるのか。承継的共同正犯の成立が問題となる。
共犯の処罰根拠は、自己の行為が結果に対して因果性を与えた点にある。とすれば、自己が加入する前の行為について、遡って因果性を与えることはできないから、承継的共同正犯は成立しないのが原則である。もっとも、後行行為者が先行行為者の行為の結果を自己の犯罪の手段として積極的に利用する意思のもと犯罪に加攻したなどの特段の事情があれば、因果性が認められ、承継的共同正犯が成立する。
本件では、乙は、甲をCからの逮捕を免れさせる目的で右脅迫をしているのみであり甲の窃盗未遂の結果を自己の犯罪手段として積極的に利用する意思は認められない。
(5)よって、乙は甲の窃盗未遂罪を帰責されず、乙は脅迫罪の共同正犯にとどまる。
(1)まず、事後強盗罪を結合犯とすると、窃盗行為に着手した時点で事後強盗罪の着手が認められることになり、実行の着手が早くなりすぎるから妥当でない。よって、①の立場のように、「窃盗」は真正身分犯であると解する。
(2)そして、①の立場の通り、甲は「窃盗」であり、甲乙には「逮捕を免れる」目的があり、乙はCに対して「脅迫」をしている。
(3)ここで、236条との均衡から、事後強盗罪の既遂、未遂の区別は、窃盗の既遂、未遂を基準とする。
すると、本件では、甲は窃盗未遂にとどまるから、甲と乙は事後強盗の未遂の客観的構成要件をみたす。
(4)もっとも、乙は甲が窃盗既遂であると認識しているから、故意が阻却されないか。上記の基準で判断する。
本件では、乙は甲が窃盗既遂と認識しているところ、甲は窃盗未遂である。とすれば、乙は事後強盗既遂の認識で、事後強盗の未遂を行なっているから、事後強盗の未遂の限度で重なり合いがあり、故意がある。
(5)よって、乙には事後強盗の未遂の共同正犯(243条、238条、60条)が成立する。
第3 設問3
1.緊急避難
(1)丙がワインボトルを投げつけDの頭部に傷害を負わたことは、傷害罪(204条)の構成要件に該当する。
(2)本件では、丙は甲に向かってワインボトルを投げつけているところ、Dの頭部にあたり、傷害結果を生じさせている。これは、防衛行為の結果が第三者に生じた場合であるところ、丙とDは「正」対「正」の関係にあることから、緊急避難(37条1項)が成立し、違法性が阻却されないか。
(3)「現在の危難」とは危難が現存し、または間近に押し迫っていることをいう。本件では、甲は、ナイフの刃先をDの胸元に突き出しており、危難が間近に押し迫っているといえる。
(4)「避難するため」とは避難の意思をいうところ、本件では、丙はDを助けようとして、甲に向かってワインボトルを投げつけているから、避難の意思がある。
(5)「やむを得ずにした」とは、補充性の要件であるところ、ボトルワインを投げつける行為は、丙が採り唯一の手段であったから、かかる要件をみたす。
(6)では、「生じた害が避けようとした害の程度を超えない」といえるか。かかる要件は法益均衡の要件であるところ、緊急避難においては「正」対「正」の関係にあることから、法益の均衡があるかは厳格に判断する。
本件では、丙が避けようとした害は、甲の強盗行為による財産に対する侵害である。他方、生じた害は、Dの頭部傷害という身体に対する害である。とすれば、法益の均衡があるとはいえず、かかる要件をみたさない。
(7)よって、法益均衡の要件をみたさず、緊急避難を成立させるのは難しい。
2.誤想防衛
(1)丙がワインボトルを投げてDに傷害を負わせたことは、傷害罪(204条)の構成要件に該当する。
(2)また、正当防衛が成立するか問題となるも、丙はDから「急迫不正の侵害」を受けていないから、正当防衛は成立せず、違法性は阻却されない。
(3)もっとも、丙の認識においては、正当防衛であり、故意が阻却されないか。
故意責任の本質は上記の通りであるが、違法性阻却事由を認識した場合は、反対動機の形成可能性がなく、故意責任を問いえない。よって、丙の認識において正当防衛となっていれば、故意が阻却される。
本件では、丙の認識において、正当防衛となっている。よって、故意が阻却され、傷害罪は成立しない。
(4)もっとも、丙はワインボトルを投げつけるという危険な行為をしており、三者に傷害結果が発生することを予見すべきだから、過失傷害罪が成立する可能性が高く、何ら責任を負わないとするのは難しい。               以上

 

【雑感】

・負傷ポイント

①重症 時間不足で、誤想防衛の主観検討を丸々省略(途中答案)

②重症 設問3の誤想防衛はこれまた焦って条文摘示を忘れる

③設問2 逮捕を免れる目的じゃなくて財物取り返し防止目的やんけ。再現作成中に気づいた。

・設問2の②の立場で、脅迫罪の共同正犯じゃなくて暴行罪の共同正犯と書いた可能性もある(何やってんだワタシ)

・刑事系が弱いのは自覚してますが刑事系合計100点ほしい(民事がお亡くなりなので)

・再現作ってて、事後強盗の目的を客観のところで書いたような気がしてきた…終わった(本当なら大ケガ)

・設問3の2.の最後は「ワインボトルを投げつけるという、不確実な行為」とすべきだった…あと、「成立する可能性が高く」って何だよ、ハッキリ言うべき。

・追記 設問2の立場①は別に事後強盗の既遂にしなくてもよかったのだろうか。つい、既遂にするよう求めてるものだと思ってムリヤリ変な理論構成をしたのだが…

 

【使用教材】

『逐条テキスト』

→疑問点があれば辞書として活用。

『新・論文の森 (上)(下)』

→解説と参考答案の質が高いため上下巻ともに使用。これなくして、今年の刑法は解けなかったと思うほど感謝している。

『スタンダード100 刑法』

→わがメインテキスト(他の科目と比べるとやや論文の森の使用比率が高めではある)。

 

にほんブログ村 資格ブログ 司法試験予備試験へ
にほんブログ村

 

令和元年司法試験 再現答案 行政法(B評価)

評価予想や議論のネタにしてもらうのは構いません。

一切の転載・複写をご遠慮願います。

 【行政法 再現答案】

 

第1 設問1

Aは本件取消訴訟において本件事業認定の違法を主張できるか。

処分には、公定力があるから、先行処分の違法は後行処分の取消訴訟において主張できないのが原則である。もっとも、かかる原則をあまりに貫くと国民の権利救済の観点から妥当ではない。

そこで、先行処分と後行処分が一連の手続をなしているかという実体的側面と、先行処分の違法を争う手続的保障が十分なされていたかという手続的側面の観点から、両処分が一連一体の処分といえる場合には、違法性の承継を認め、後行処分の取消訴訟において先行処分の違法を主張できるものと解する。

B県は、土地収用法(以下、「法」)39条は収用または使用の裁決を受けるためには、法26条による事業認定とは別個に改めて申請をする必要があるから、先行処分と後行処分が一連の手続をなしているとはいえず、実体的な一体性は認められないと反論する。

しかし、法47条、47条の2は法20条によって事業認定がされた場合には、それと異なる時を除き(法47条1号)、認容裁決をしなければならないとしており、改めて内容を審査することを予定していない。とすれば、本件事業認定と本件権利取得裁決は、一連の手続をなし、実体的に一体であると認められる。

B県は以下の反論をする。法26条、法28条の2において事業認定があった旨を告示するとの規定を置いているから、先行処分の違法を争う十分な手続的保障があった。また、本件では、任意買収を行うことについての交渉を行っていたのであるから、Aは本件事業認定の存在を知りえたといえる。よって、本件事業認定と本件権利取得裁決は手続的に一体ではない。

しかし、法26条、28条の2による告示等は公示力が弱く、通常、これによって法20条の事業認定の存在を知りえない。また、たしかに本件では本件土地について任意買収の交渉が行われていたものの、専門家でもないAはこれをもって事業認定が存在することを認識することは不可能である。よって、本件事業認定と本件権利取得裁決は、手続的に一体である。

以上より、本件事業認定と本件権利取得裁決は実体的にも手続的にも一体であるから、両処分は一連一体の処分である。よって、Aは本件取消訴訟において本件事業認定の違法を主張することができる。

第2 設問2 小問1

 1.B県は以下のような反論をする。

 行政事件訴訟法(以下、行訴法)36条の「当該処分若しくは裁決の存否またはその効力の有無を前提とする現在の法律関係に関する訴えによって目的を達することができないもの」とは、無効確認訴訟に不可争力がないことから補充性の要件を定めたものであり、字義通りに解すべきである。本件では、Aは本件土地の明渡義務不存在確認請求を求めることによって、本件土地の明渡し義務のないことを既判力をもって確定でき、これによって目的を達成できる。よって、本件権利取得裁決の無効確認訴訟は「当該処分若しくは裁決の存否またはその効力の有無を前提とする現在の法律関係に関する訴えによって目的を達することができないもの」とはいえず、適法とならない。

2.しかし、国民の権利救済の観点から、「当該処分若しくは裁決の存否またはその効力の有無を前提とする現在の法律関係に関する訴えによって目的を達することができないもの」とは、現在の紛争解決にとって直接的で適切であることをいう。そして、民事訴訟によってかかる補充性の要件が否定されてしまうと、無効確認訴訟の存在意義がなくなってしまうから、民事訴訟が提起できることをもっては補充性要件は否定されない。

3.本件では、本件権利取得裁決の無効確認訴訟によって、本件権利取得裁決の無効を確定でき、これにもとづく本件土地の明渡義務を否定できるから、現在の紛争解決にとって直接的で適切であるといえる。

4.よって、本件権利取得裁決の無効確認訴訟はかかる補充性の要件をみたし、適法である。 

 第3 設問2 小問2

1.行政調査と処分の違法

(1)B県は以下の反論をする。すなわち、行政調査と事業認定は別個の処分であるから、行政調査に違法があっても事業認定の違法を構成しない。

(2)しかし、適正手続の見地から、行政調査が処分の要件になっていない場合であっても、行政調査に重大な違法があれば処分の違法を構成するものと解する。本件では、平成22年調査にはC市の調査手法に誤りがあり、重大な違法がある。よって、行政調査に重大な違法があり、これにもとづいてなされた本件事業認定は違法である。

2.裁量の逸脱・濫用

(1)まず、B県知事には、法20条1号は「適正且つ合理的な利用」という抽象的な文言を用いていること、事業認定は専門技術的判断を要することから要件裁量があり、また、同条柱書の「できる」の文言から効果裁量が認められる。

(2)ア.交通量が3分の1にまで減るならば、土地収用によって得られる利益とされる「道路ネットワークの形成」には必要性がなく、B県知事の本件事業認定は不合理であるから裁量の逸脱濫用として違法である。

B県は以下の反論をする。すなわち、本件道路の整備によっては、「道路ネットワークの形成」のみならず「通行者の安全性の確保」「地域の防災性の向上」という3つの利益があるところ、これらを総合的に判断すれば、本件土地の収用によって失われる利益はそれほど大きくなく、また、事業計画は適正かつ合理的であるとしたB県知事の判断は裁量の範囲内にあり、適法である。

イ.仮に「道路ネットワークの形成」のために本件道路が必要だとしても、その必要性はかえって通過車両が増加するなどして、良好な住環境が破壊されるだけであるから、本件事業認定は考慮不尽であり裁量の逸脱濫用として違法である。

B県は以下の反論をする。上記のように総合的に判断すれば、本件事業認定は裁量の範囲内であり、適法である。

ウ.B県は以下の反論をする。すなわち、法には本件土地の自然環境の保護について考慮すべきとする明文がないから、本件土地の自然環境に影響を与えないようなルートをとることができるかについて検討しなかったことは、裁量の逸脱濫用ではなく、違法ではない。

しかし、土地収用の際は、できる限り私人の財産に影響を与えないような配慮をすべきであり、B県は本件土地の自然環境に影響を与えないようなルートをとることができるかを検討する必要がある(林試の森事件)。本件では右事項についてB県は何ら検討しておらず、考慮不尽であるから、裁量の逸脱濫用となり違法である。

エ.Aは、以前本件土地周辺の工事では、深さ2メートル程度の掘削工事で井戸が枯れたことがあること、また、B県は防災目的の井戸への影響を何ら調査していないから、B県による本件事業認定は考慮不尽として裁量の逸脱濫用にあたると主張する。

B県は以下の反論をする。すなわち、B県は調査によって、本件土地での掘削の深さは2メートル程度であり、地下水には影響がないと判断しており、かかる判断は合理的であることから裁量の逸脱濫用はない。                                       以上

 

【雑感】

・誘導にやたら「裁決固有の瑕疵」というワードが並んでいたため、無駄に原処分主義対裁決主義の話と迷う。

・誰だ、5年連続で原告適格が出るだの、今年は処分性が出るだの言ってたのは。

・正直、設問2小問2の2.の裁量の話で何を書いたかあまり覚えていません。

・設問2小問2の答え方間違えてねえか汗(睡眠不足の祟り…ホテルの枕柔らかすぎ問題、という言い訳)

・『湯神くんには友達がいない』の最新刊買うのすっかり忘れてた。

 

【使用教材】

判例百選』

→公法系は判例を知らないと/理解していないと他の人に差を付けられるため。


行政判例百選I(第7版) (別冊ジュリスト)

 

『スタンダード100 行政法

→押しも押されもせぬわがメインテキスト。

 
司法試験・予備試験 スタンダード100 (4) 行政法 2021年 (司法試験・予備試験 論文合格答案集)

にほんブログ村 資格ブログ 司法試験予備試験へ
にほんブログ村

 

令和元年司法試験 再現答案 憲法(A評価)

評価予想や議論のネタにしてもらうのは構いません。

一切の転載・複写をご遠慮願います。

憲法 再現答案】

第1 立法措置①

1.フェイク・ニュース規制法(以下、「法」)6条は、虚偽表現を虚偽と知りながらする自由(以下、「自由1」)を侵害し、違憲か。

2.まず、虚偽表現を虚偽と知りながらする自由は「表現の自由」として憲法21条1項(以下、法名略)により保障される。

この点、自由1は、自己の思想を外部に表明するものではないから表現の自由として同項により保障されないとの反論がありうる。しかし、虚偽表現をすることによって現在の社会の状況に異を唱えるなど、思想を表現している場合もありうるのだから、自由1は同項により保障される。

3.そして、法6条は「何人も…虚偽であることを知りながら、虚偽表現を流布してはならない」と規定しており、虚偽表現をすることが全面的に禁じられているから、自由1は制約されている。

4.ア.そして、自由1は自己の人格形成・発展を図る自己実現の価値と政治意思決定に関与する自己統治の価値を有し、重要な権利である。

反論として、虚偽表現を虚偽と知りながらすることによっては人格の形成発展につながらないし、また、政治的意思決定に関与するものでもないから、自由1は重要な権利とは言えない、というのがありうる。しかし、上記のように虚偽表現をすることによって現在の社会の状況に異を唱えるなど、思想を表現している場合もありうるのだから、自由1は自己実現・自己統治の価値を有する重要な権利であるといえる。

イ.また、6条は虚偽の表現そのものを流布することを全面的に禁止しているから、自由1に対する事前抑制であり、思想の自由市場への登場を妨げるため、制約の態様は強い。

5.よって、法6条が正当化されるかは①目的が必要不可欠であり②手段が目的達成のため必要不可欠か、によって決する。

ここで、出版物の事前差止めの判例においては、①事実の公共性②目的の公益性③事実が真実であるか、または真実と信じるに足りる相当な理由があること、という規範を用いて合憲性を判定した。しかし、同判例は名誉権との対立が問題となった事案であるから本件と事案を異にする。よって、上記の基準によるべきである。

6.ア.本件では、法6条の目的は、虚偽の表現により社会的混乱が生じることを防止すること(法1条)にあり、かかる目的は必要不可欠である。

反論として、以下がありうる。すなわち、虚偽表現によって社会的混乱が起きるのは、虚偽表現であることを見抜けない情報の受け手側に起因するものであるから、これらの者を教育すべきであり、右目的は必要不可欠ではない。

しかし、虚偽表現により社会的混乱が生じた場合、場合によっては人の生命や身体に危険が及ぶ場合もあるのだから、法6条の目的は重要である。

イ.反論として、社会的混乱を一切生じさせないためにはあらかじめ事前規制の方法によることも必要不可欠である、というのがあり得る。

しかし、虚偽表現がなされたあと、かかる表現を見た他者が、これが虚偽であることを発信し、注意喚起するなどの方法によっても社会的混乱は防ぎうる。また、法25条は法6条違反に対して罰則を設けている。これらの事情からすると、虚偽と知りながらする虚偽表現の思想の自由市場への登場を妨げる法6条は過度な制約である。

7.よって、法6条は自由1を侵害し違憲である。

第2 立法措置②

1.法9条1項、2項はSNS事業者が特定虚偽表現を削除するか否かを決定する自由(以下、「自由2」)を侵害し、違憲か。

2.自由2は、「表現の自由」として21条1項により保障される。

以下のような反論がありうる。すなわち、SNS事業者が特定虚偽表現を削除するか否かを決定することは、自己の思想を外部に表明するものではなく、同項で保障されない。

しかし、通常、SNS事業者はある表現を削除するかあるいは残しておくかについての内部基準を有しているのが通常であり、かかる内部基準に自己の思想が表現されているといえる。よって、自由2は同項で保障される。

3.また、法9条1項柱書は、同項各号に該当する場合に「特定虚偽表現」を削除しなければならないとしてSNS業者に対して特定虚偽表現の削除を義務付けており、また、同条2項はSNS業者に対して特定虚偽表現の削除を命じうる旨規定しているから、特定虚偽表現を削除するか残しておくかを決定することを認めておらず、自由2を制約する。

4.ア.自由2は、上記のような自己実現の価値・自己統治の価値を有する重要な権利である。

イ.また、法9条は特定虚偽表現であることを理由にSNS事業者にかかる表現の削除を義務付けているから内容規制であり、制約の態様は強い。

反論として、法9条1項柱書は「選挙運動の期間中及び選挙の当日」に期間を限定しており、内容中立規制であって制約の程度は強くない、というのがあり得る。

しかし、同条は特定虚偽表現であることを理由にSNS事業者に削除を義務付けているのだから、内容に着目したものであり、内容規制である。

ウ.もっとも、選挙には公務としての側面があるから合憲性判定基準を緩めるべきである。

この点、選挙犯罪者の選挙権を剥奪した公職選挙法の規定を合憲とした判例があるが、同判例は自ら選挙の公正性を害した者であり、本件とは事例を異にするとの反論があり得る。

しかし、選挙は民主政治の基盤であるから、選挙にはその本質として公正性が要求される。

5.よって、法9条1項、2項の合憲性は①目的が重要か②手段が目的達成のため、実質的関連性を有しているかによって判断する。

6.ア.法9条1項、2項の目的は特定虚偽表現につき、SNS事業者に削除義務を課すことで選挙の公正を確保すること(法1条)であり、かかる目的は必要不可欠である。

イ.また、法9条1項各号は「虚偽表現であることが明白であること」「選挙の公正が著しく害されることが明白であること」などと対象を限定している。

反論として、法9条2項に違反した場合、法26条は罰則を定めており制約が過度であるというのがあり得る。

しかし、法9条2項は、SNS事業者が同条1項の義務に従わなかった場合に特定虚偽表現の削除を命じうるものとしており、段階的な規制となっている。さらに、法15条3項、4項は、法9条2項の削除を命じうる委員会につき、党派的な偏りを排除して公正を保つよう配慮している。よって、規制は過度とはいえない。

ウ.また、法9条1項2項に目的適合性があることは明らかである。

以上より、法9条は21条1項に反せず合憲である。

第3 法20条の合憲性

法20条は9条2項の規定による命令を発するにつき、行政手続法3章の適用を排除しているが、31条に反し違憲か。

31条は本来刑事手続について定めた規定であるが、行政手続によっても人権侵害のおそれがあり行政手続であることをもってその適用を排除すべきでない。もっとも、行政活動は多種多様な目的でなされるから、事前の告知・弁解・聴聞の機会を与えるか否かは、制約される権利の種類・内容・制約の程度と、公益目的の内容・程度・緊急性を比較較量して決すべきである。

本件では、SNS事業者の自由2が制約されているところ、かかる自由は自己実現・自己統治の価値を有する重要な権利である。また、法9条2項はSNS事業者の上記内部基準にかかわりなく特定虚偽表現の削除を命ずるものであるから、自由2を直接的に制約しており、制約の程度は強い。他方、公益目的は、選挙の公正を確保することであり、選挙の公正を図ることは上記のように重要であるから、その必要性が高い。また、選挙期間は2週間しかなく、期日前投票の制度もあることから速やかに選挙に影響を与える特定虚偽表現を削除する必要があり緊急性は高い。

以上から、微妙な事案ではあるが、公益の必要性・緊急性が高いことから法20条は31条に反せず合憲である。                         以上

 

【雑感】

・あてはめ下手すぎ(試験中から思ってた)。

・事前差止めの判例の規範を間違えたことに再現答案作成中に気付く。

・ナンバリングを、1.2.…の次は(1)(2)…のはずなのにア.イ.にしてしまった気がする。答案を書きなれていないツケが回ってまいりました。特定答案とならないことを願うのみ。

・答案構成に時間かけすぎて、明確性原則(21条、31条)は省略した。

司法試験あるあるだが、答案構成用紙だけは充実してしまっている。

・自由2については、「忘れられる権利」判決を参考にしたつもり。もっとも、これが答案上に表現されているといえるか微妙だが…

 ・過去の採点実感には「求めているのは具体的な事例の分析」としつこく書いてあったので、具体的な事例の分析をしたつもり。

・自由2なんで目的適合性あとに書いてるん…?汗

・公法系合計で100点、できれば110〜115点あればうれしい。

 

【使用教材】

『逐条テキスト』

→辞書的な役割。問題演習をしていて、不明な点や理解があいまいな点があれば使用。


司法試験・予備試験 逐条テキスト (1) 憲法 2021年 (W(WASEDA)セミナー)

 

憲法判例百選』

→公法系は判例がとくに重視される科目のため、さすがにやらねば他の受験者に差を付けられると思ったため。


憲法判例百選I 第7版 (別冊ジュリスト)

 

『スタンダード100 憲法

→わがメインテキスト。


司法試験・予備試験 スタンダード100 (1) 憲法 2021年 (司法試験・予備試験 論文合格答案集)

 

『新・論文の森(上)』

→上巻(人権)のみ再び使用することとした。新論文の森がこんなにも解説や答案の質が高いテキストだったとは…予備試験終了後にようやく気付いた。

 
司法試験予備試験 新・論文の森 憲法 上

 

 

 にほんブログ村 資格ブログ 司法試験予備試験へ
にほんブログ村

令和元年司法試験 再現答案 労働法 第2問 

評価予想や議論のネタにしてもらうのは構いません。

一切の転載・複写をご遠慮願います。

【労働法 第2問 再現答案】

  • 設問1

1.X組合は労働委員会に対し、支配介入(労働組合法7条3号、以下労組法)を理由とするポストノーティス命令を求めて不当労働行為救済申立(労組法27条1項)をする。また、X組合は裁判所に対し、不法行為に基づく損害賠償請求(民法709条)をする。

2.(1)ア.Y社が本件労働協約(以下、「協約」)29条に基づいて、X組合が作成し貼り付けたビラ(以下、「本件ビラ」)を撤去した行為は「支配…介入」(労組法7条3号)にあたるか。

「支配…介入」とは、労働組合の自主性・団結力・組織力を損なうおそれのある行為をいう。

とすれば、「支配…介入」にあたるといえるためには、前提としてX組合が本件ビラを掲示板に貼り付けたことに組合活動の正当性が認められる必要がある。

(2).組合活動の正当性は認められるか。

まず、X組合が本件ビラを掲示板に貼り付けたことは本件労働協約27条に基づくものである。そして、協約28条、29条はビラの内容に制限を設けているところ、かかる規定は企業秩序維持のために必要であり、使用者の管理権の濫用とは言えない。よって協約28条、29条は有効である。

もっとも労働協約により組合活動を認められている場合であっても、無制限に許されるわけではない。労働組合は組合員の経済的地位の向上を目的としており(労組法2条柱書)、その活動に一定の公的役割を期待されている。とすれば、労働組合は自己の行為の結果が他の国民の自由権・財産権などの基本的権利を害することのないよう配慮すべき義務がある。

よって、組合活動の正当性があるかは、組合活動が社会的通念上相当といえるか否かにより決する。

本件では、本件ビラには「不当な賞与査定である」「上司によるセクハラ行為である」との内容が書かれている。しかし、Aの賞与がゼロとなったことには、Aが度々5分ないし10分の遅刻をしていること、業務上のミスが多いこと、という正当な理由がある。また、Aの賞与がゼロなのは、Aが上司の誘いを断ったことが真の原因ではないかという議論は苦情処理委員会でも検討されているところ、X組合側委員はセクハラがあった、会社側委員はセクハラは事実無根でありなかったというように協議は平行線のまま終了しており、その真偽は不明である。にもかかわらず、上記のようなショッキングな内容のビラを作成し、掲示板に貼り付けたことは社会通念上相当とされる限度を超えている。

また、本件ビラには「Y社の対応はセクハラを隠蔽しようとするものでコンプライアンス上重大な問題がある」とも記載されているが、上記の理由により社会通念上相当とはいえない。

本件ビラには「Y社は正当な理由なく団体交渉を拒否している」という記載がある。これに対し、Y社はそもそも個人の査定等の問題は集団的労使交渉にはなじまないから、苦情処理委員会を設けたのであって、また、苦情処理委員会において物別れに終わっている以上、これ以上説明することはないということを理由に団体交渉を拒否しているが、本件ビラのこの部分は理由がある。なぜなら、「正当な理由なく」(労組法7条2号)といえるためには義務的団交事項にあたればよいところ、労使対等による労働条件の決定という労組法の趣旨(労組法1条1項)に鑑みれば、義務的団交事項とは①労働条件その他労働者の待遇または労使関係の運営に関する事項であって②使用者が処分権限を有しているものをいう。本件ではAの賞与は①労働条件に関するものであり②Y社が処分権限を有しているから義務的団交事項に当たる。よって本件ビラの右記載には理由がある。

しかし、本件ビラを全体としてみれば、社会相当性が認められないことに変わりはないから、このことは結論を左右しない。

よって、X組合の本件ビラ貼りは、組合活動の正当性が認められず、本件ビラは「会社の信用を傷つけ、…個人をひぼうし、事実に反し、職場規律を乱すもの」として協約28条違反があるから、Y社が同29条に基づいて本件ビラを撤去したことは正当である。

以上より、ポストノーティス命令は認められない。

  • 設問2

1.X組合は労働委員会に、Y社に対するチェックオフ命令を求める。

2.まず、チェックオフは、「賃金の一部」を「控除」するものであるから労働基準法(以下、労基法)24条1項但書の要件を満たす必要がある。

本件では、Y社がチェックオフについて定められた本件労働協約につき、90日前の解約予告をして解約されているから、労組法15条3項および4項により本件労働協約は解約されている。また、新たな労働協約も締結されていない。

よって、同項但書の要件をみたさず、チェックオフ命令を出すことはできない。

3.もっとも、このような場合でも労働委員会はチェックオフ命令を出せないか。

救済命令制度の趣旨は、正常な集団的労使関係秩序回復のため、労働委員会に広い裁量を与えたものである。とすれば、救済命令が正常な集団的労使関係秩序回復のために必要かつ相当と言えない場合には、救済命令は裁量の逸脱・濫用として違法となる。

本件では、上記のようにX組合とY社の間に労働協約がなく、労基法24条1項但書の要件をみたしていないところ、チェックオフ命令が出されればX組合・Y社間に労働協約が締結され、X組合の組合員とY社の間にチェックオフについての委任があったのと同様の状態を作出してしまう。これは、右のような協約締結・委任がないにもかかわらず、あるかのようにしてしまう点で、現実からかけ離れたものである。

また、上記の事態は、労働者に賃金の全額を受領させて労働者の経済生活の安定を脅かさないようにするという労基法24条1項の趣旨にも反する。

よって、チェックオフ命令は正常な集団的労使関係秩序回復のため必要かつ相当といえず、労働委員会はチェックオフ命令を出すことはできない。

                                 以上

 

【雑感】

・第2問は何書けばいいか本当に分からなかった。本当に困った。

・設問1→おいおいおい、協約に根拠あるよ。典型論証パターンが使えない…汗

あと、団交拒否のねじこみがムリヤリすぎる!

・設問2→X組合往生際悪すぎだろ…あんたら何の救済を求めようっていうんだ…何にもわからないホントに。

 

にほんブログ村 資格ブログ 司法試験予備試験へ
にほんブログ村

令和元年司法試験 再現答案 労働法 第1問

評価予想や議論のネタにしてもらうのは構いません。

一切の転載・複写をご遠慮願います。

【労働法 第1問 再現答案】

  • 設問1

1.弁護士は、本件解雇は解雇権の濫用(労働契約法16条、以下労契法)として無効であるとして従業員の地位確認請求を主位的に主張する。また、予備的請求として仮に本件解雇が適法としても、解雇予告または解雇予告手当の支払い(労働基準法20条1項、以下労基法)がないから解雇は有効とならないと主張する。

2.(1)では、本件解雇は有効か。労契法16条にてらして判断する。

まず、「客観的に合理的な理由」があるといえるか。

本件解雇はY社就業規則(以下、「規則」)32条2号、4号、7号を理由としてなされているところ、かかる規定は「合理的」であり、「周知」がなされていると考えられるから「労働契約の内容」(労契法7条本文)となっている。

(2)ア. では、規則32条各号該当性があるか、「客観的に合理的な理由」があるか問題となる。

イ.規則2号該当性

Xは勤務成績不良を理由にY社から解雇されているが、「勤務成績が不良で改善の見込みがないとき」にあたるか。

解雇は労働者に多大な影響を与えるから厳格に解し、同号に当たるかは労働契約を維持することができないほどの事由かにより決する。

本件では、XはY社入社当初、期間の定めのある契約社員であったが、契約を更新し、採用から1年過ぎたころには無期契約労働者となっており、店長や本部のマネージャーに昇進することも可能と言われていた。勤務成績が不良であれば、契約を更新したり無期契約への転換をしないことが通常であると考えられるから、これらの事情からすればXはY社の求める水準には達していたものと思われる。

また、新たな店長としてPが着任したことを境に、半期ごとの成績評価でB+からCとなっており、また、ささいなミスや客からのクレームを理由に、しばしば叱責を受けているなどの事情から、本件解雇は勤務不良ではなく個人的な嫌がらせとして行われたものと思われる。仮に、Xの勤務成績が不良だったとしても、Pは何ら改善指導をしていないから、労働契約を維持することができないほどの重大な自由とはいえない。

よって、同号該当性は認められない。

ウ.規則4号該当性

Xが「勤務改善の誓い」と題された文書を「いい加減にしてください」と大声で叫びながら、破り捨てた行為は、「従業員として不適格」として規則4号に該当するか。

Xは他の同僚と同等以上の仕事をしていると思われるところ、Pに狙い撃ちをされることによってストレスが高まっていた。同文書を破り捨てたのは、スタッフミーティングの際にPがX前日に起こした客との小さなトラブルを非難してなされたものであり、我慢の限界に達して行われたものであると思われる。このような事情からすれば、Xが同文書を破り捨てたのは仕方ないといえるし、むしろ責められるべきはPである。

よって、同号該当性は認められない。

エ.また、以上のように7号該当性も認められない。

(3)よって、本件解雇は「客観的に合理的な理由」があり、「社会通念上相当」であるとはいえないから、解雇権の濫用として無効である。

3.(1)また、仮に本件解雇が適法としても、解雇予告手当の支払いがなく、本件解雇は無効となるのではないか。規則33条但書の有効性が問題となる。

(2)この点、労基法20条1項但書は「労働者の責めに帰すべき事由に基づいて解雇」する場合は解雇予告手当の支払いを要しないとしている。しかし、同行但書に列挙されている「天災事変」等により「事業の継続が不可能となった場合」との均衡から、「労働者の責めに帰すべき事由に基づいて解雇」とは懲戒解雇に限定すべきであると解する。

すると、規則33条但書は普通解雇の場合にも解雇予告手当の支払いをしないこととしているから、「この法律で定める基準に達しない」として労基法13条により無効となる。

(3)すると、Y社はXに解雇予告手当を支払わなければならないところ、本件解雇は解雇予告手当の支払いなしに行われている。では、解雇予告手当の支払いを欠く解雇は有効か。

労基法20条1項の趣旨は、解雇が労働者の生活に多大な影響を与えることから、再就職までの時間的余裕を与えることにある。とすれば、使用者が即時解雇に固執する趣旨でない限り、解雇予告手当の支払いを欠く解雇も、解雇の意思表示後30日の経過により有効となる。

本件では、Y社が即時解雇に固執しているといった事情は認められない。

以上より、本件解雇が適法であれば本件解雇は有効である。

  • 設問2

1.Y社はXがホテル専門学校を中途退学しているのに卒業したと申告したという経歴詐称の事実を右の従業員地位確認請求訴訟において処分理由として追加することが考えられる。

2.まず、右経歴詐称によりXを懲戒解雇できるか。労契法15条にてらして判断する。

罪刑法定主義類似の要請から、「懲戒することができるとき」とは就業規則に懲戒の種別と事由が定められていることをいう。本件では、規則40条に懲戒の種別と事由が定められているからこれをみたす。

また、経歴は労働者の労働力の評価や企業秩序維持のため重要な情報であり、労働者は信義則上真実を告知すべき義務があるから規則40条の規定は、「合理的」であり「周知」されていると考えられるから「労働契約の内容」となっている(労契法7条本文)。

では、「客観的に合理的な理由」すなわち懲戒事由該当性があるか。

学歴は重要な経歴であり、労働力の評価や企業秩序維持のため重要な情報である。よって、Xが専門学校を中退しているのに卒業したと申告したことは「重要な経歴を詐称」したといえ、規則40条1号該当性がある。よって「客観的に合理的な理由」がある。

また、これを理由に懲戒解雇することも「社会通念上相当」である。

すると、経歴詐称を処分の理由として追加することも可能とも思える。

3.しかし、懲戒の刑罰類似の性格に鑑みれば、処分と処分理由は一対一対応の関係にある。とすれば、処分理由の同一性が認められない限り、処分理由の追加は認められない。

本件では、規則30条2号、4号、7号該当性と、経歴詐称の間には全く理由の同一性が認められない。

以上より、Y社は従業員の地位確認請求訴訟において処分理由として追加できない。

                                   以上

 

【雑感】

・やらかし科目第1号(労働法第2問を含めて)

・設問1で15条か16条かでめっちゃ迷う(事例演習労働法に類問あったのに)。

・あてはめスッカスカのカッスカス過ぎ。

・第1問書き終わる時点で、残り1時間20分くらいしかなかったので、最後らへん焦って設問2のところで「従業員の地位確認請求」を「本件解雇の無効確認訴訟」とか書いてた可能性もある。もう記憶にないが…

・もっと短く書きたい。内容はないのにワードで書いてるとき文字数多すぎて驚いた。

・なんとか50〜55点行っててほしいものです

 

【使用講座・教材】

労働法は法学部と共通の授業があったため、それを受講しました。

つまり、労働法は完全独学ではありません(同じ大学、同じ授業受けてた人いらっしゃると思いますが特定、公表しないでください)。

 

 

 

『フロンティア労働法 第2版』

『労働関係法規集 2018年版』

『労働法判例百選 第9版』

『事例演習労働法 第3版』

にほんブログ村 資格ブログ 司法試験予備試験へ
にほんブログ村