結論は、
「自分が行う弁護士業務が好き」な人
です。
※後述のとおり、弁護士業務にはある程度の幅があります。
そこで、この記事では、弁護士一人ひとりが従事する業務が異なることを想定して、「自分が行う弁護士業務」という表現を用いています。
なぜ、「自分が行う弁護士業務」が好きな人が向いていると思うか?
結論:弁護士は収入を得るために常に法律に触れ、勉強をし続ける必要があり、立ち止まることが難しいという意味でハードな職業です。嫌いだと毎日が苦痛になると思います。
弁護士は、基本的に
⑴自分で働いて、
⑵専門知識を提供する
ことで報酬を貰う仕事です。
以下で、詳しく解説します。
⑴について:
弁護士は、基本的には、働かなくなると収入が入ってこない仕事です。
(※なお、上記で「基本的には」と書いたのは、他の弁護士を雇用する経営者的な立場にある弁護士の中には、自分は働かないけれどもしっかり収入を得ている人もいるからです。以下、この意味で用いる「基本的には」を省略。)
例を挙げると、
・株式を持っている人は、働かなくても配当金が入ってきます。
・ベストセラー作家は、働かなくても権利等からの収入が入ってきます。
・賃貸不動産の貸主は、ほぼ働かなくても毎月の家賃収入が入ってきます。
しかし、弁護士は、依頼者との契約に応じた職務をその都度遂行しなければ、収入が得られない「それきり型」の収入です。
過去にすごい成果を挙げたから、今は何もせずとも十分な収入が入るということは起きません。
⑴及び⑵について:
上記を踏まえると、弁護士は常に依頼者に法的サービスを提供し続ける必要があります。
そして、弁護士業務については、
・依頼者からの依頼内容は、毎回異なること
・法令は新設、改正等が頻繁にあること(重要な法令だけでも年数回はある)
・裁判例も日々積み重ねられていくこと
などの事実があります。
なので、毎日の業務を適切に処理するため、弁護士は専門知識に磨きをかけ続ける必要があります。
なお、「必要な勉強量は、一般のサラリーマンがする業務外の勉強とは比べものにならない」くらいの認識で間違っていないと思います。
・弁護士は、働き続けなければ収入が得られないこと
・弁護士は、適切な業務処理のために常に多くの勉強をする必要があること
を前提にすると、弁護士って、なった後も結構ハードな職業なのかなというイメージが掴めるでしょうか…?
このような職業であるにも拘らず、自分の仕事が好きじゃないと毎日がなかなか厳しいと思います。
なので、働き続けなければいけなくても、多くの勉強をこなす必要があっても、それらが全く苦にならない人が弁護士に向いていると思います。
業務が好きな人なら、むしろ積極的に多くの仕事をこなし、自ら進んで勉強する可能性が高く、その結果、知識と経験が身に付いて良い仕事ができるでしょうね。
弁護士業務にはある程度の幅がある。その幅の中から好きなものを選択できるし、そうすべき。
上記のとおり、弁護士に向いているのは、その仕事の内容が好きな人だと思います。
ところで、弁護士の業務といっても、その内容は弁護士によって異なります。
僕は、73期弁護士といって2020年12月に司法修習(司法試験合格後に必須で行う研修)を修了したのですが、同期の弁護士でも業務内容は様々です。
・四大法律事務所と呼ばれる最大手法律事務所で、大企業を顧客にM&A(企業の買収等)を主な業務とする弁護士
・都内で破産、民事再生、任意整理等を専門的に扱う弁護士
・都内で労働問題を専門的に扱う弁護士
・地方で個人、中小企業からの様々な依頼(個人からは離婚、相続、建物明渡しほか多数/企業からは訴訟、契約書チェック、事業の適法性相談ほか多数)に取り組む弁護士
ほか、色々な種類の業務があります。
ですので、自分が好きだと思う働き方を選ぶのが最適解だと思います。
もっとも、予備試験/司法試験の勉強をスタートしてないうちから、好きな分野を特定するのは無理があります。
予備試験/司法試験の勉強、インターン(法律事務所での短期の職場体験)への参加、司法修習で得る体験などを通じて、好きな分野がある程度わかってくるものと思います。
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話は少し変わり、弁護士になっていきなり独立する人は少数派で、まずは誰か先輩弁護士が経営する事務所に入る(就職する)のが一般的です。
就職について、以前は同期とよく話していたのですが、その際「まずは企業法務(企業を顧客とする業務)の事務所に行こう」と言う人が一定数いました。
なぜかというと、企業法務の事務所の方が収入が高い傾向にあるからです。
要は、「好き/嫌い」の軸ではなく「損/得」の軸で就職先を選んでいるのですが、僕は、これは良くないと思います。
収入という損得を重視して、好きでもない事務所を選ぶと、毎日が「苦痛に耐えて、金をもらう」という苦行になります。
収入を重視するなとはいいませんが、それよりも優先的に「好き嫌いで選ぶこと」を推奨したいです。
(本文終わり)
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