独学で予備試験に挑戦した者として、「独学で予備試験に挑むのはやめたほうが良い」ということを書きます。
独学・1年で予備試験に合格することはできない?
この問いに対しては「メチャクチャ頑張れば(効率良い方法で、1日5時間以上勉強)合格できる」と答えます。
インプットセンスのある人なら、合格できなくはないと思います。
独学の何が問題なのか
方向性を誤りやすい(※僕はこれで苦労しました)
独学は、自分で勉強方法を確立する必要があります。
その際、
・はじめから合格までの合理的・効率的な計画を立てられ、
・それを遂行できる
とは限りません。
合理的・効率的な計画を自分で立てなければ、ロスが生じます。
(でも受験勉強を一通り経験したことない独学生が、予備校より優れた計画を立てられることはほぼ無理でしょう)
独学の人が時間をロスしている間、
他の受験生は先へ進み、
独学をしている自分の勉強は全く進んでいません。
僕はこのことに焦りを感じていました。
実際、僕の失敗としては、
・結局最後までどの分野を重点的に勉強し、どのくらいまで知識を深めれば合格するのかということが全く見えなかった(頻出問題に力を入れるなどメリハリを付けられず、全ての分野について平均的に勉強した)。
・「論文を書き、合格者等に添削してもらうことで自分の問題点を知る」ということができなかった
・全体を俯瞰する論文試験の勉強からではなく、細かい知識まで問う短答試験の勉強から初めてしまった
というのがパッと思いつきます。
他方、予備校の授業を受けていれば、既にレールが敷かれているので、合格まで何をすればよいかの道筋が自然と見えてくるでしょう。上記の僕のような失敗も避けられるはずです。
予備校を使うなら素人が自分で一から十まで計画を立てなくてもよいのです。
すでに予備校が持っているノウハウに乗っかればよいから。
理解するまでに時間がかかる
独学でやろうとしている人は、基本書なり演習書なりを使用すると思いますが、そこに書いてあることを初見で理解できる人はまずいないでしょう。
法律書は、学習者に分かりやすく書いてあるものが少ないからです(イメージが湧かなければ、書店や図書館で「民法〇〇」みたいな本を立ち読みしてください)。
僕は『スタンダード100』というメインで使っていた問題集の中で、理解するまでに8回ほどかかった問題もありました。
つまり、独学では理解できるまで立ち止まる時間が長いのです。
他方、予備校ではわかりやすい解説をしてくれるはずなので、問題となっている論点等を1回で理解できます。
故に暗記や他の論点との区別など次のステップへ素早く進めます。
でも、予備校に通うお金がないよ?
たしかにこれは大きな問題です。
予備試験に合格される方(とくに学生)は、100万円以上もする予備校費を親御さんに払ってもらっている方が多いです。
かたや、僕(大学生)は、伊藤塾等100万円するような予備校はもちろん、
アガルート(昨年60万程度だったはず)や資格スクエア(予備試験パック35万くらい)にすら手の届かない金銭状況でした。
しかし、リサーチしてみると、LECの柴田孝之先生らがテキスト費込みで11万円〜13万円台で「スマホで司法試験」という入門講義を始めたようです。
スマホで司法試験 S式入門講座 【PR】早期割引価格(2021年5月31日まで10%OFF)
受験勉強を始めたときにこの講座があれば、僕は間違いなく受講していました。
他の答練や論文試験対策は、
『スタンダード100』や『実務基礎ハンドブック』で代替可能であると思いますが、入門講座は全ての土台となる知識を得られる講座です。
10万円ちょっとを払えない方はあまりいないのではないかと思います。
また、独学でやるとしても導入本を買う必要があったりするので、独学でもそれなりに教材費がかかります。
例えば、基本書を憲法、行政法、商法、民事訴訟法、刑事訴訟法は各1冊、民法は5冊(総則、物権、債権、不法行為、家族法)、刑法は2冊(総論、各論)の合計12冊用意するとして、1冊平均で4,000円とすると、それだけでも48,000円です。
また、独学はめちゃくちゃ時間がかかります。
僕も独学でしたが、独学の人が法律書を読んだところで、1回や2回では理解できません。日々判決を出し法律を運用している裁判所も、法律書を書いている学者も、法曹又はその界隈に従事する人に向けて書いており、一般人に分かるように書いてくれていません*1。
一方、予備校は、難解な法律語を法律の知識がない受験生がわかる言葉で説明してあげるのが仕事であり、翻訳や通訳といった役割をしてくれます。
なので、日雇いバイト10回してスマホで司法試験講座を受講した方が、独学でやるよりも、結果的に数ヶ月のスパンで見れば、時間的にも短く済んで、合格率も独学より高くなると思います。
貧しくて伊藤塾とかアガルートとかは受講できない人でも、独学する前にLECのスマホ講座を最後の選択肢として持つべきであると思います。
最後に
(1)最も貴重なリソースである時間を、金で買うという発想を持てるか?
試験勉強という時間との戦いでは、「時間をお金で買う」ことを忘れないでください。
また、独学であれば3年かかるところを、予備校を使って1年で合格できたら、法曹としての2年分の給料+2年の時間が得になることを覚えていてください。
独学で受かったら本人の達成感はすごいでしょうが、
・時間は奪われますし、
・独学で合格しようが予備校を利用して合格しようが、世間から見れば、両者は「予備試験/司法試験の合格者」という全く同じ地位にあります。独学で受かっても偉くありません。
予備校費が100万円であれば、「そんなこと言われても、そもそも100万円貯めるまでに時間かかっちゃうでしょ」との反論があるでしょうが、10万円なら出せる人が多いでしょう。
(2)独学、辛いです。特に精神的に。
独学で予備試験に挑んだ者として、「予備試験に完全独学で合格しようなんてバカなことをしようとしちゃいかん、破滅への第一歩だ」と言いたいです。
僕は、好きで独学受験をしたわけではありません。
お金がないから仕方なく独学でやったにすぎません。
100万円の貯蓄があれば、間違いなく予備校講座を受講していました。
実際、2018年予備試験の論文試験受験後は合格発表まで毎日、「落ちたかな」「やっぱ独学なんて無謀だよな〜」「こんな辛い勉強をあと1年もやらなきゃいけないなんてやだな〜」「時間の無駄だったな〜予備試験なんか受けなきゃよかった」などと、かなりへこんでいました。
(3)追記(独学経験者じゃない人からの言葉の重みは・・・?)
「予備試験 独学」で検索すると「予備試験の独学合格は可能である」と主張するページや書籍も見当たります。
僕はこの「予備試験の独学合格は可能である」には続きが合って、「※但し時間が取れること、かつ、天才的に勉強ができること」という文句が隠れていると思っています。
例えるなら「※ただしイケメンに限る」のようなものですねw
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この記事の続編。
予備校は受講する方がいいと思います。独学よりよほどマシです。
合格可能性的にも、勉強時間的にも、精神的にも。
*1:追記:余談ですが、弁護士になった2021年の今だからわかることなのですけど、依頼者が大きなの会社の法務部社員(弁護士資格を持っていることも多い)が窓口になっているなどかなりの法律知識があるという場合を除き、一般の依頼者に対しては、判決文の内容をわかりやすいように平易な言葉で説明したりします。裁判所は、判決文を弁護士や上級の裁判所に向けて書いているので、判決文は一般人に読み解けるものではありません。