第1 おすすめの本
1 民事系科目(民事裁判、民事弁護)起案
【要件事実】
教官からは「要件事実はご自身で勉強してくださいね」と言われます。
修習では要件事実の授業はありませんが、修習生が皆口を揃えて言うことは、「要件事実が一番大事」です。
民事裁判及び民事弁護の要件事実部分で間違えると、大きな減点を食らうと言われているからです。
それも納得できます。例えば民事裁判では、設問が全5個の問題のうち、第1問と第2問で要件事実の整理が問われることが多いのですが、最初で間違えると、第1問の間違えを前提に残りの問題を答えることになります。
修習におけるテストに相当する「起案」では主張整理(要件事実)を書かされますが、本書には演習問題が豊富に掲載されており、書く練習が詰めます。
ただ、圧倒的に人気が高いのは『紛争類型別の要件事実(通称:類型別)』です。73期では僕の周りのほぼ全員持ってました。僕も流されて買おうかと思いました。
紛争類型別の要件事実
【事実認定】
なし。起案の復習と白表紙として配布される「事例で考える民事事実認定」だけやり込んでください。
これだけで、修習生としての事実認定能力は十分足ります。というか、一回読んだだけじゃマスターできませんし、逆にこれをマスターしているなら、試験は余裕です(薄いくせに奥が深く、マスターしている修習生がいるのか不明です)。
起案後の教官からのコメントで事実認定についてダメ出しを受けた場合は、この本を読めば大抵のことは改善できます。
逆に、この本をまともに読んでいないからこそ、教官から事実認定についてダメ出しをくらうのかもしれません。
なお、「ステップアップ民事事実認定」や司法研修所が出している各種の本を読んでいる人もいますが、労力や金銭などの費用と効果が見合っていないと思います。
2 刑事系
⑴検察 なし。白表紙「終局処分起案の考え方」と起案の復習
⑵刑事裁判 なし。白表紙「刑事事実認定ガイド」と起案の復習
⑶刑事弁護 なし。導入修習の授業の復習と起案の復習
3 実務修習
・民事裁判修習
指導担当の右陪席裁判官(中堅裁判官です)の推薦で購入。
企業法務と書いてありますが、民事実務一般に役立ちます。受験時代には深く学ばなかった手続や、実務の経験知が書かれた本です。
民事裁判実務修習時には1週間に10回は参照しました。超役立ちます!
紙の書籍は約600ページと厚みがあり重いので、kindle版の購入をお勧めします。
企業法務のための民事訴訟の実務解説
第2 六法
二回試験(修習の卒業試験に相当)で貸与される六法がデイリー六法です。
他のブログでは、判例六法プロフェッショナルを推薦する記事も見たのですけれども、73期修習生は肌感覚で99%がデイリー六法の使用者でした。
判例六法プロフェッショナルがなくて困るのは、民事裁判実務修習での「プロ責法」及び刑事裁判実務修習での「出入国管理及び難民認定法」だけです。
デイリーに載っていない条文が必要になった時には、ネットで調べるとか裁判官室などにある判例六法プロフェッショナルを一時的に使用するとかすれば足りると思います。
また、判例六法プロはポケット六法の数倍の重さがあり、持ち運びにはどうでしょうか。
第3 パソコン
【大前提】軽いものにすべし!
導入修習中と裁判修習中は、自宅から司法研修所もしくは裁判所まで自分のノートパソコンを毎日持っていかなければなりません。
テキスト等の他にノートパソコンが荷物に加わることを考えると、軽いものを選ぶのがよいです。17インチのDVDドライバー内蔵パソコンなんて選んだら毎日の通勤が地獄です。
修習生の大半は13インチのノートパソコンを選んでいました。
また、軽さを求めた修習生は多く、感覚的に僕の周りの3~4割程がMac Book Air 13インチ(Amazon)かSurface Pro 13インチ(Amazon)でした。超軽いし、動作もいいです!
最新 Apple MacBook Air Apple M1 Chip (13インチPro, 8GB RAM, 256GB SSD) - シルバー
【パソコン音痴はここに注意】
「起動が遅い」「WordやExcel使用中にフリーズする」などイライラした経験がある方は多いと思います。
そんな方は「ストレージ」と「メモリ」に注意してPCを選びましょう。
・ストレージはSSDを選びましょう ×NG:HDD
・メモリは8GB以上(8GBor16GB)を選びましょう ×NG:4GB以下
修習生は文書作成が主なので、CPU(Intel core等)はi3かi5あれば最低限足りると思います。
●PCの選び方についての外部参考リンク:
https://little-beans.net/tokushu/recommended-notebook/
※追記※
①オンライン修習に際してのパソコンのスペックについて
73期修習では、オンライン講義が実施されました。
今後の修習はどのような形で行われるか不明ですが、オンラインが続くとすると、よりスペックの高いPCが求められます。
オンライン修習中、回線が弱かったりやスペックの低いPCの人は、講義視聴に支障が出ていました(回線切断、画質が悪い(講義画面が見えない)、音声の質が悪い(低スペックPCから話す人の声が途切れる等)。
僕はM1 Macbook Airを使っていますが、上記その他の障害は生じることはありません。外出先でのiPhoneとのテザリングも快適で、モバイルルーターは不要になりました。
M1 Macbookの登場で、20万越えのcore i7のWindowsPCを凌ぐほどのパワーを10万円台で手に入れられるようになったので、74期以降の方は弁護士になってからも使える高性能PCとしてお勧めします。
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②イヤホン&マイクについて
Macbook、iPhone、iPadユーザーにはAir Pods Proをお勧めします。
・遮音性が高く、研修所から和光市駅までの騒がしいバス車内や、コロナ対策で窓が空いているため雑音の多い電車内でも、音声が聞こえます。
・退庁後の帰宅中、疲れて何かを能動的に読む気にはなれなくても、受動的に聴くことなら耐えられることが多いと思います。
オンライン講義等でマイクとしても活躍します。
また、講義中にトイレに行きたくなった場合などでも、Bluetoothイヤホンをしていれば講義を聞き続けることができます。
心置きなくトイレ等に行けるはずです(笑)