予備試験を独学・1年で受験してみた

他のブログと違う視点で「合格まで」を考える/73期弁護士

法学部生・ロースクール生の法廷傍聴は何を見るべきか

※予備試験受験生(特に実務基礎と口述)にも役立つ内容です。

法廷傍聴の課題は、基本的に公判の手続を目で見て頭でイメージできるようにすることだと思います。

六法は必携品です。

なお、司法試験に合格した後の「司法修習生(私は現在ここ)」はデイリー六法、司法修習を卒業した法曹三者は、判例六法Professionalを使用する人が大多数。

 

で、学生等が法廷傍聴すべき事件ですが、

民事であれば証人尋問…①

刑事であれば

裁判員裁判…②

または裁判官裁判のうち

出入国管理及び難民認定法違反の不法滞在(オーバーステイ

覚せい剤取締法違反や大麻取締法違反の単純所持・単純使用…これらまとめて③

が適していると思います。

 

以下説明します。

 

①類型について

民事は、基本的に通常の期日であれば、以下の感じで進みます。

側から見ているとなんのこっちゃ分かりません。

裁判官「原告代理人or被告代理人準備書面を陳述しますね?」

原告代理人or被告代理人(A)「陳述します」

裁判官「それで、準備書面の第〇の〇段落目のここはどういう意味ですか?」→書面読んでないと意味分からん

代理人A「それは(説明)」→同上

裁判官「では次は被告代理人or原告代理人準備書面書く番ですね。準備にどれくらい必要ですか」

代理人B「1ヶ月くらいかと」

裁判官「では次の期日を決めましょうか」→裁判官と両代理人間で、何日は差支えなので行けない、何日何時ならOKなどのやりとりを繰り返す。

裁判官「じゃあ、次の期日は1ヶ月と1週間後の〇月〇日とします。被告代理人or原告代理人は、期日の1週間前までに書面を出してください」

 

さらに、多くの事件は弁論準備手続に付されます。弁論準備手続は非公開なので、傍聴できません。そして、残念なことに、事件の大事な部分は、弁論準備手続で大方進んでしまいます。

こんな感じなので、民事の法廷傍聴というのはあまりお勧めしません。

 

強いて言うなら、午後の期日に証人尋問があれば、それを傍聴することを勧めます。

午前に記録の閲覧を申請すれば、当日中に見られますので(東京地裁HP参照、150円払えば誰でも見られます)、記録を読んだ上で傍聴しましょう。記録中に出てきた書面に記載されている事項は、根拠を六法で参照しながら見るのもお勧めです。

なお、証人尋問をする事件というのは、これまでにすでに弁論または弁論準備で、争点が大分煮詰まっており、当事者の主張や書証が大方出尽している事件であって審理もいよいよ大詰め(結審間近)という段階にあります。ですので、記録を事前に読んでおくのはほぼ必須事項。

 

②類型について

裁判員裁判の公判は、「法廷内で裁判員が心証を取れること」を1つの大きな目標として運用されています。

通常の裁判官裁判であれば、書証は要旨の告知(刑訴305条、規則203条の2)、要するに要約形式で行うので、傍聴人が内容を理解することは難しいです。

しかし、裁判員裁判は、前記の目的を達成するべく、書証は全文朗読するという運用になっています。証人尋問もありますし、また、重大事件が多い裁判員裁判では被害者参加の手続きも見られることが多いです。

要するに、裁判員裁判は手続きのフルコースであって、さらに傍聴人もほぼ完全に内容を理解することができるという良い事づくめなのです。

そこで当ブログは、裁判員裁判の傍聴をお勧めします。

デメリットは、連日の長時間開廷であること(長期休暇を利用してください)、重大事件が多いので人気が高く、早めから並ばないと傍聴できない可能性があることです(なお、傍聴抽選事件は避けるのが吉)。公判前整理手続が見られないことは、公判の内容を理解する上ではさほど問題ではありません。裁判員と同じ条件ですし、公判前整理手続の結果は公判で顕出される(刑訴法316条の31)からです。

 

③類型について

これらは、1回結審で論告弁論まで行く(証拠調べを全て終えた上で、刑訴法293条の意見を述べる手続き)か、場合によっては即日判決(第一回目の公判で判決まで行く)という事件が多いです。

すると、1時間かそこらで一通りの手続きを網羅することができますので、法廷傍聴の目的をコスパ良く達成することができます。

なお、それぞれ「刑事事件の一通りの流れ」が一番の傍聴ポイントですが、以下にそれぞれの事件類型に特有の傍聴ポイントを記載します。

不法滞在であれば、通訳人の手続きや、被告人は、入廷時には手錠を付けられているが執行猶予付判決が出たときは345条により手錠を付けられていないなどが、事件特有の傍聴ポイントです。

薬物事犯であれば、起訴状の罪名部分が「覚せい剤取締法違反」「大麻取締法違反」「麻薬及び向精神薬等取締法違反」となっていること、証拠物の展示(刑訴306条)、領置した薬物の没収などが事件特有の見るべきポイントです。

 

 

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