予備試験を独学・1年で受験してみた

非法学部生が独学・1年未満で予備試験に合格した記録(問題集絶対主義)/73期弁護士

予備試験.司法試験 おすすめ論証集 趣旨規範ハンドブックvs合格論証集を比較

チキンライスさんからのご質問

「おすすめの論証集はありますか?

私は、趣旨規範ハンドブックと合格論証集で迷っています」

 

この記事は金曜日にようやく完成しましたが、さすがに予備論文の直前に出すわけにもいかず火曜日の公開となりました。

チキンライスさん、遅れて申し訳ないです。

 

 

結論

本屋で読み比べたところ、趣旨規範ハンドブックの方が優れていると思います。

 

理由①ブロックごとに分割されている←→合格論証集:分割なし

『趣旨規範』は、趣旨、(論点)問題、規範、理由付けがどこにあるのか一目で分かるような作りになっていて見やすい。

そして、論点については、各ブロックの意味付け=(問題、規範、理由付け)が一見して明らかであるため、頭の中で整理しやすいです。

一方、『合格論証集』は全て文章の形で書かれています。そのため、文を丸々読んでみないと、どこが趣旨で/理由で…というのが分かりません。

また、文章の形で書かれておりビジュアル的な整理がなされていないため、頭の中で整理しやすいとは言えませんね。本番の答案用紙に丸写しができる、という利点はありますが…

理由②問題集としても使いやすい←→合格論証集:問題集として使いづらい

先ほど、『趣旨規範』は問題、規範、理由付けがどこに記されているか一目瞭然と書きました。

同書は、ある論点についての解説を、以下の画像のように四角を3つに分けて①問題②規範③理由としています。

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そのため、「思い出す勉強」をしてアウトプットも行いながら暗記をしたい方にとっては、「①の問題部分を見て、②と③を思い出す」というような問題集に似た使い方ができるという大きなメリットがあるのです。

他方、『合格論証集』は最初から最後まで文章の形で書かれているため、このような使い方はしづらいでしょう。

理由③判例の解釈がされているか←→合格論証集:判決文そのまま貼り付けただけ

これが『趣旨規範』の方が優れていると思う最大の理由です。

予備校の意義というのは、条文や判例、学説を知識のない人たちにも理解しやすいように分かり易く教えることにあると僕は考えています。

『趣旨規範』は、判例等の規範を理解しやすく、覚えやすいように、そしてコンパクトに作ってありこの要請を満たしています。

他方、『合格論証集』は裁判所の判決文をそのまま貼ったような記載が散見されます。

理解しにくい法律を理解しやすいように伝える工夫が十分でない、という点が大変残念です。

合格論証集の方が優れている点

もっとも、合格論証集の方が決定的に優れていると思える点もありました。

本年度の司法試験では刑法、刑事訴訟法は学説対立問題が出されました。

僕が見た限り、『趣旨規範』では基本的に判例の規範と解説のみがなされていました。これまでの司法試験ではそれでもよかったのですが、本年度のような学説問題が続く場合には『趣旨規範』では反対説が書けず困るかもしれません。

この点、アガルート・アカデミーの慎重な工藤北斗先生がお書きになった『合格論証集』は、対立が激しい論点については反対説の規範まで紹介しています。

 

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